小林製薬「紅麹」含む健康食品を自主回収(2024年3月22日『NHKニュース』)

 

大阪市に本社がある「小林製薬」は、「紅麹(べにこうじ)」の成分を含む健康食品を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことが報告されたと明らかにしました。会社ではこの成分を含む3つの健康食品を自主回収するとともに、使用を中止するよう呼びかけています。

会社が自主回収することを発表したのは、

▼「紅麹コレステヘルプ」
▼「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」
▼「ナイシヘルプ+コレステロール」の
3つで、いずれもコレステロールや血圧を下げる効果をうたった健康食品です。

会社の発表によりますと、ことし1月、「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人が腎臓の病気などを発症したことが報告されたということです。

その後、体調不良が報告された患者の数は13人に増え、このうち6人が入院が必要となり、一時、人工透析が必要になった人もいるということです。

会社が成分を分析したところ、一部の紅麹の原料に意図しない成分が含まれていたということです。

「紅麹コレステヘルプ」は3年前に販売を始めて以降、ことし2月までにあわせて106万袋が販売されています。

会社では自主回収するとともに、商品を持っている人には今後使用しないよう呼びかけています。

「腎疾患で一時6人が入院 現在も7人が通院」会見で

小林製薬は午後6時から大阪市内で記者会見を開きました。

会見の冒頭で小林章浩社長は「商品の成分分析をした結果、本来想定していない成分が含まれていることが判明しました」と述べた上で、商品を自主回収すると発表しました。

そして「健康を害されたお客様に深くおわびを申し上げるとともに、使用しているお客様には直ちに使用の中止をお願いいたします。このたびは申し訳ございませんでした」と述べ、謝罪しました。

記者会見で、渡辺淳 信頼性保証本部長は「腎疾患によって一時、6人が入院したほか、現在も7人が通院している」と明らかにしました。入院した人のなかには一時、人工透析が必要になった人もいるということです。入院患者6人のうち5人はすでに退院しているということです。

「紅麹」とは

「紅麹」は、コメなどの穀類に麹菌の一種である紅麹菌を繁殖させてつくられたもので、古くから食品の着色料などとして使われてきました。

紅麹の「ロバスタチン」という成分にはコレステロールを低下させる作用があるとされ、紅麹由来の健康食品などが多く販売されています。

一方、紅麹菌の中には「シトリニン」というカビ毒をつくるものもあり、腎臓の病気を引き起こすおそれがあるとされています。

国の食品安全委員会によりますと、ヨーロッパでは紅麹由来の健康食品による健康被害が報告されていて、EUヨーロッパ連合は健康食品に含まれる「シトリニン」の基準値を設定しているということです。

小林製薬によりますと、今回の報告を受けて成分を分析したところ、「シトリニン」は検出されなかったということです。

一方で、「シトリニン」とは別の未知の成分の存在を示す分析結果が得られたということで、「意図しない成分が含まれている可能性が判明した」としています。