岸田首相が画策する二階元幹事長と森元首相“生け贄”作戦の本気度…自身にも「非公認」科し、党内の異論封じ込め狙う?(2024年3月22日『日刊ゲンダイ』)



本当にこの2人を厳しく問責するのか(左から二階俊博元幹事長、森元首相)/(C)日刊ゲンダイ
本当にこの2人を厳しく問責するのか(左から二階俊博元幹事長、森元首相)/(C)日刊ゲンダイ
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政倫審じゃ裏金事件の実態解明はどだいムリ 自民参院対象者32人→出席3人のドッチラケ 自民党もう1つの“裏金スキーム”発覚で「茂木vs安倍派幹部」最終バトル勃発? 森喜朗元首相乱入の可能性も 西村康稔氏が“抜け駆け”で政倫審出席のウラ…裏金事件めぐる安倍派若手の反乱に「5人衆」真っ青

 派閥の裏金事件を巡り、自民党は総裁である岸田首相と二階元幹事長、安倍派幹部に処分を科す方向で検討中だ。二階氏や安倍派幹部は党則で定める8段階の処分のうち、3番目に重い「党員資格停止」や4番目の「選挙における非公認」となる可能性がある。一方、岸田自身は2番目に軽い「戒告」が検討されているとも報じられている。

 裏金議員約80人と併せ、4月上旬に一斉処分に踏み切る見込み。森山総務会長は20日、岸田首相と二階氏の処分について「党紀委員会に上申する前に執行部で議論することが前提になっており、そのことを踏襲していく」と話した。

「総理を軽い処分にすると、党内から『岸田さんは自分に甘い』と批判が噴出するのは間違いない。ただ、総理総裁に『役職停止』や『離党勧告』を科すことはできない。今後、落としどころを巡って大モメ必至だろう。とりあえず、総理としては派閥会長であり裏金額が3500万円超と突出している二階さんを厳しく処分して『自浄能力』をアピールしたいようだ」(官邸事情通)

 二階氏といえば、2022年までの3年間の収支報告書を訂正し、書籍代として約3500万円の支出があったと記載。「本当にそんなに買ったのか」と批判を招いている。

 幹事長時代に使途公開義務がない政策活動費を約50億円も受け取っていたこともあり、裏金自民を象徴する存在として世間に受け止められている。二階氏の吊し上げは「自浄能力」アピールとしてはうってつけだろう。

 岸田首相の標的は二階氏だけではない。安倍派の裏金化が始まった経緯を知り得る森元首相も“生け贄”にする可能性がある。

「安倍派の裏金スキームは、森さんが派閥会長を務めていた時期から始まったのではないか、と指摘されており、国会招致を求める声がある。朝日新聞の最新の世論調査では、森さんの国会招致について65%が『必要だ』と回答。国民の不満を解消するため、総理が森さんに説明を求めるのでは、と囁かれています」(永田町関係者)

派閥解散、政倫審出席表明と同じ手法

実態解明や裏金議員の悪質性を明らかにするのが先じゃないか?(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
実態解明や裏金議員の悪質性を明らかにするのが先じゃないか?(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ
  

 岸田首相はこれまで森元首相への聴取に消極的だったのに、15日の参院予算委員会では「聴取対象の中に森氏も入ると認識している」と踏み込んでいた。

 岸田首相は本気で二階氏と森元首相を“生け贄”にするつもりなのか。ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。

「二階元幹事長の処分を巡る報道は、官邸リークの可能性があります。岸田首相は二階さんに『処分を受けますよね』とメッセージを送った格好です。森元首相について『聴取対象に入る』と国会で言及したことも、『調査に協力してくれますよね』と暗に投げかけたのでしょう。最終的なウルトラCとして浮上しているのは、岸田首相自身の処分を『選挙における非公認』とすること。自らの処分を厳しくすることで党内の異論を抑え、2人に対応を強く促す狙いです。突然、派閥解散や政倫審出席を表明したのと同じ手法と言えます」

 しかし、先に実態解明し、それぞれの裏金議員の悪質性を明らかにしなければ、処分などできるわけがない。結局は“やってる感”の演出でしかないわけだ。国民はだまされてはいけない。