保育園で使ったおむつの「持ち帰り」が2年で約5分の1に――。 公立保育施設がある全国市区町村に民間団体が調査したところ、使用済みのおむつを保護者に持ち帰らせている自治体は1割以下の7・9%にとどまり、2年前の39・4%から大幅に減少したことが分かった。
【調査結果】なぜおむつ持ち帰る?一番多い理由は…
保育園での処理が進んだ背景について、調査の担当者は「『持ち帰り』が社会問題化し、保護者が声を上げやすくなったことが要因の一つ」と指摘する。
全国調査は保育園向けに紙おむつの定額制サービスなどを手がける「BABY JOB」(大阪市)が2022年から年に1回実施。今回は24年4月時点の状況を、公立保育施設がある全国1427市区町村にそれぞれ聞き取り、紙おむつ、布おむつのいずれかを持ち帰っている園が一つでもあれば「持ち帰りあり」に分類した。
その結果、園側がおむつを破棄する「持ち帰りなし」が89・7%(1280)で、約9割を占めた。「持ち帰りあり」は7・9%(113)で、「把握していない・その他」が2・4%(34)だった。
持ち帰りを継続する113自治体に理由(複数回答)をたずねたところ、子どもの体調管理(45・1%)▽ずっとそうしてきた(25・7%)▽ごみの保管・回収の手配が難しい(20・4%)――と続いた。
2年前の22年調査では、公立保育施設がある全国1461自治体のうち、「持ち帰りあり」が39・4%(576)を占め、「持ち帰りなし」は49・1%(717)にとどまった。「把握していない・その他」は11・5%(168)だった。
◇23年1月に厚労省が事務連絡
使用済みおむつの持ち帰りを巡っては、保護者から抵抗を示す声が相次ぎ、数年前から問題視されてきた。
厚生労働省は23年1月に全国の自治体に対し、保護者らの負担軽減のため、施設側による使用済みおむつの処分を推奨する事務連絡を出している。
調査結果について、「BABY JOB」の担当者は「疑問を持つ保護者の声が広がり、『持ち帰りは当たり前じゃない』と多くの人が気づいたことで、自治体が動いたと考えています」と評価する。
一方で、私立保育施設は数が多く、実態が把握できていない。一部で持ち帰りが続いているとみられ、「小さな私立保育園の場合は経営の問題から廃棄費用の確保が難しく、行政の支援が今後の課題」と指摘した。【デジタル報道グループ】