去年11月、鹿児島県屋久島沖で墜落した事故のあと、飛行を見合わせていた、アメリカ軍と陸上自衛隊のオスプレイについて、防衛省は、14日以降、整備などを終えた機体から、国内での飛行を段階的に再開すると発表しました。
去年11月、鹿児島県屋久島沖でアメリカ軍の輸送機オスプレイが墜落し、乗員8人全員が死亡した事故を受け、アメリカ軍と陸上自衛隊は、すべての機体について飛行停止の措置をとっていましたが、アメリカ軍は今月8日、措置を解除しました。
これを受けて防衛省は、国内での飛行再開についてアメリカ側と調整し、13日、発表しました。
それによりますと、事故の再発防止のための安全対策として示された整備や教育を行い、それらを終えた機体から、14日以降順次、基本的な飛行を行い、技能の練度を回復していくとしています。
また、陸上自衛隊のオスプレイについては、初飛行後当面の間、飛行場周辺で飛行し、必要な練度を回復したうえで次の段階の訓練に進む計画で、アメリカ側も段階を踏んで慎重に運用再開のプロセスを進めていくとしています。
防衛省は担当者が13日に、この内容を鹿児島県や沖縄県など11都県の関係自治体に説明を行ったということです。
ただ、事故の詳しい原因は、アメリカの法律の制限により明らかにされていないことから、自治体からは反発が出ることも予想されます。
防衛省担当者 鹿児島県庁を訪れる
鹿児島県庁には13日夕方、九州防衛局の担当者が訪れ、飛行再開に向けた日本側の見解を伝えました。
九州防衛局の担当者は「アメリカ軍の原因分析や安全対策は、防衛省・自衛隊の専門的な立場からも合理的であると評価しており、各種の安全対策を講じることで、安全に運用を再開できると考えている」として、オスプレイの飛行再開に理解を求めました。
これに対し鹿児島県の担当者は、「地元の住民をはじめ県民は不安を抱いている」として、詳しい事故原因や安全対策の情報提供を求めました。
しかし、防衛省側は「アメリカ軍が調査報告書を発表するまでは詳細は申し上げられない」などと述べました。
また、防衛省側は、飛行再開に向けてパイロットなどの練度を3段階に分けて回復させたうえで再開すると説明しましたが、段階的に行われる再開の詳細時期については「引き続き日米間で緊密に連携し調整していく」と述べるにとどまりました。
沖縄県 玉城知事「認めることはできない」
沖縄 宜野湾市長 “市民などの不安払拭にはならない内容”
沖縄防衛局は13日、職員2人がアメリカ軍普天間基地のある宜野湾市の市役所を訪れ、松川市長と面会しました。
面会は非公開で午後4時半ごろからおよそ30分間行われ、松川市長によりますと、アメリカ軍のオスプレイの飛行再開は14日以降になると説明があったということです。
具体的な日時については、防衛局は「追って連絡する」と述べるにとどまったということです。
松川市長は「防衛局の説明は、事故原因の特定の部分でしっかりした説明がなく、納得できなかった。8人も亡くなる大きな事故で、市民や県民の不安の払拭(ふっしょく)にはならない内容だ」と述べました。
そして「原因を明らかにできない理由は、アメリカの法律上、事故調査に関する最終報告書がまとまるまで制限があるからということだったが、市民や県民の不安を一日も早く払拭してほしい」と述べた上で、引き続き再発防止に向けた対策を求めていく考えを示しました。
宜野湾市民の反応
オスプレイの飛行再開をめぐって、沖縄県宜野湾市の市民からはさまざまな声が聞かれました。
70代の男性は「飛行が再開されて被害が起きたら困るとは思うが、特に反対ではない」と話していました。
60代の女性は「騒音で夜起きることもあり、飛んでほしくないが、子どもや高齢者のことも考えて、飛ぶ時間を考えてほしい」と話していました。
一方、70代の男性は「墜落事故の原因が何だったのか、調査内容がわからない。再開するにしても、毎日点検をしてほしい。普天間基地を飛んでほしくないという思いもある」と話していました。
80代の男性は「もともとオスプレイには反対の立場です。事故を起こして、飛行の安全が確保されていない状況で、飛行再開は絶対に反対だ」と話していました。