再審制度改正へ超党派の国会議連 幹部ら130人超が参加(2024年3月11日『共同通信』)

再審制度改正を求める超党派の国会議員連盟の初会合で発言する自民・柴山昌彦氏(右から2人目)=11日午後、国会

 刑事裁判をやり直す再審の手続きに長い時間を要するのは冤罪救済の観点から問題だとして、速やかな制度改正を求める超党派の国会議員連盟が設立され、11日、国会内で初会合を開いた。自民党麻生太郎副総裁や立憲民主党泉健太代表ら各党幹部が呼びかけ人となり、同日時点で130人余りが参加した。

 刑事訴訟法は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」があれば再審を始めると定めるが、手続きを具体的に示しておらず、再審請求審の長期化の要因とされる。1966年の静岡県一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の場合、再審開始の確定は2023年3月だった。

 

再審に関する手続き定めた法改正など議論 超党派の議連が発足(2024年3月11日『NHKニュース』)

 

再審=裁判のやり直しが決まるまでの審理に長い時間がかかるという指摘がある中、えん罪被害者の速やかな救済につなげようと超党派の国会議員による議員連盟が発足し、再審に関する手続きを定めた法律の改正などについて議論していくことになりました。

再審の制度は刑事訴訟法に規定がありますが、70年以上にわたって一度も改正されていないうえ、通常の刑事裁判とは違って審理の進め方などが具体的に定められておらず、再審請求の審理が長期化し、えん罪を晴らす妨げになっているとの指摘も出ています。

58年前に静岡県で一家4人が殺害された事件で強盗殺人などの罪で死刑が確定した袴田巌さんは、裁判のやり直しを求めてから去年、再審開始が決まるまでに40年余りかかりました。

こうした中、えん罪被害者の速やかな救済につなげようと、超党派の国会議員による議員連盟が発足し、11日午後、設立総会が開かれました。

議員連盟の会長には自民党の柴山元文部科学大臣が就任し「無実の罪で刑に処せられた方々の苦労は筆舌に尽くしがたい。人権侵害やご家族の苦労を考えると、再審のプロセスをしっかりと改正していくことが必要だ」とあいさつしました。

議員連盟には、これまでに与野党から134人の国会議員が参加を表明しているということで、今後、法改正などについて議論していく方針を確認しました。

 

「今の法律でえん罪被害者は救えない」 超党派の国会議員が再審法改正を目指し議連設立(2024年3月11日『弁護士ドットコム』)

 

再審法改正の必要性を呼びかける柴山昌彦衆院議員(中央)ら議連の国会議員(3月11日、東京都千代田区衆議院第一議員会館で、弁護士ドットコムニュース撮影)

国会議員が政党を超えて再審法の改正を目指す「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟(議連)」が3月11日、発足した。政府任せでは見直しが進んでこなかった法律の不備を改善する取り組みがようやく動き出そうとしている。

【画像】袴田事件で再審開始決定を出した村山浩昭弁護士

再審の手続きは刑事訴訟法に定められているが、具体的な記載が乏しく再審が始まるまでに時間がかかりすぎるなどの問題点が指摘され続けてきた。

この日、東京都千代田区衆議院第一議員会館で議連の設立総会があり、会長に就任した自民党柴山昌彦衆院議員が「無実の罪で刑に処せられた方々は筆舌に尽くしがたい苦労をする。これまで再審法改正について様々な議論がされてきたが、なかなか具体的な成果が出てこない。ぜひみなさまのパワーを法改正という形で結実させていきたい」とあいさつした。

袴田事件で再審開始決定の裁判長「証拠開示の規定があればもめない」

議連は今後、えん罪被害者や支援団体から話を聞くなどして今の法律の課題や改善すべき点を整理していく方針という。「山が相当高い」として、改正を実現する目標時期は明らかにされなかった。

設立総会では、袴田事件をめぐって静岡地裁の裁判長として再審開始の決定を出した村山浩昭弁護士が講演した。

袴田事件の再審をめぐる議論でポイントとなった衣類のカラー写真が再審請求から30年経ってようやく開示されたことに触れ、「裁判官は相当確信を持たないと取り調べなどをすることは難しいが、証拠開示の規定があればもめない」と述べた。

また、一旦再審開始決定が出ても検察官が抗告することで再審が始まるまでに長い時間がかかる点を指摘した上で、「今の日本の刑事訴訟法はえん罪被害者は救われない。運用で解決するのは限界。どうしても改正が必要だ。どうか国会議員には力を合わせて良い改正案を練ってほしい」と訴えた。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

弁護士ドットコムニュース編集部