2万人以上が今も福島県外へ避難 自治体は移住者の呼び込みに力点 福島第1原発事故から13年の現在地(2024年3月11日『東京新聞』)

 
 東京電力福島第1原発事故から13年がたった今も、放射能汚染により広い範囲で避難指示が出た福島県からは2万279人(2月1日時点)が県外での避難生活を続けている。昨年から822人減ったものの、帰還への動きは鈍い。

◆関東の避難先は茨城県が最多

 復興庁のまとめでは、福島からの県外避難者のうち、関東1都6県にほぼ半数の1万864人が暮らす。隣接する茨城県の2322人が全国最多で、次いで東京都が2250人、福島第1原発が立地する双葉町の全町避難先だった埼玉県が2225人と続いた。
 福島県では、帰還困難区域内で優先的に除染を進めた6町村の特定復興再生拠点区域について、昨年5月に飯舘村の避難指示が解除され、人が住める場所の避難指示解除が完了した。
 
 
 避難指示が続く帰還困難区域では、住民の帰還希望を基に除染範囲を指定する「特定帰還居住区域」での除染が昨年12月、大熊、双葉の両町で始まった。浪江、富岡の両町でも区域が指定された。国は2029年までに、希望者全員の帰還を目指すとしている。
 居住者数は、原発が立地する大熊町が646人(3月1日時点)で事故前の5.6%、双葉町が102人(2月末時点)で同1.4%と大半の住民は戻っていない。自治体側も移住者の呼び込みに力点を移しつつある。(小野沢健太)