2万9000人が今なお避難 第1原発廃炉見通せず 東日本大震災13年(2024年3月11日『毎日新聞』)

JR双葉駅前をほのかに照らすたくさんのキャンドルを見つめる親子=福島県双葉町で2024年3月10日午後6時39分、手塚耕一郎撮影

JR双葉駅前をほのかに照らすたくさんのキャンドルを見つめる親子=福島県双葉町で2024年3月10日午後6時39分、手塚耕一郎撮影

 戦後最悪の自然災害となった東日本大震災は11日、発生から13年を迎えた。関連死を含む死者・行方不明者は2万2222人。東京電力福島第1原発事故により今も福島県7市町村に帰還困難区域が約310平方キロ残る。避難者は2月1日現在、2万9328人いる。

 発生は2011年3月11日午後2時46分で、三陸沖を震源とする国内観測史上最大となるマグニチュード9・0を観測し、巨大津波が沿岸部を襲った。

 原発事故や津波による避難者は11年3月のピーク時、約47万人に上った。避難者は避難先で居住していても元の住まいに戻る意思のある人で、自治体により総務省の「全国避難者情報システム」に登録されている。福島県によると、県外への避難者は2万279人、県内の他の自治体への避難者は5993人という。

 第1原発にたまる処理水の海洋放出は23年8月24日に始まった。だが、溶け落ちた核燃料「燃料デブリ」の取り出しはまだ行われず廃炉の行方は見通せない。

 帰還困難区域のうち「特定復興再生拠点区域」約27・5平方キロは23年11月までに避難指示が解除された。残る約310平方キロは、4町の計約14平方キロが「特定帰還居住区域」に認定され、4月以降に除染が本格化する。他自治体の追加分を含め29年までに解除される見通しだが、居住区域から外れる山林や農地、一部の民家などは解除のめどが立っていない。

 一時全域に避難指示が出た7町村の解除地域でも居住人口は約1万1600人と住民登録の2割にとどまる。居住再開が22年8月と最も遅れた双葉町は103人で1・9%にすぎない。町は30年の目標人口を約2000人と掲げている。

 10日夜、JR双葉駅前では、犠牲者の鎮魂や復興への祈りを込めて約1000本のキャンドルに明かりがともされた。元日に起きた能登半島地震の復興を願う「がんばろう能登石川」とのメッセージが書かれたキャンドルもあった。同県いわき市の高槻桜々(るる)さん(12)は双葉町に住む親戚らと訪れ、「双葉は良いところ。また人が増えてほしい」と願った。【安藤いく子、肥沼直寛、手塚耕一郎】