木原稔防衛相は9日、米軍が輸送機オスプレイの運用停止を解除し飛行再開を決めたことを受け防衛省内で記者会見し、在日米軍や陸上自衛隊のオスプレイ飛行再開に向け関係自治体への説明を始める意向を表明した。地元の同意が再開の条件となるかについては言及を避けた。
木原氏は2023年11月の鹿児島・屋久島沖合での在日米軍オスプレイ墜落事故の原因について米側から「前例のないレベルで詳細な情報提供を受けた」とし、「防衛省・自衛隊としても合理的と評価している」と強調。安全対策をとりつつ「地元の皆様の不安や懸念払拭(ふっしょく)のため、(飛行)再開前に丁寧に説明したい」とした。担当者が関係自治体を訪問し、対面で直接説明する考えだという。
ただし具体的な事故原因について米側は、事故調査委員会の報告書公表まで「米国内法上の制限により、詳細について対外的に明らかにすることはできない」とも言及。地元の同意が飛行再開の条件となるかとの質問に対し「丁寧に説明するということに尽きる」などと繰り返した。飛行再開の時期については「予断を持ってお答えすることは難しい」と述べるにとどめた。在日米軍と陸自オスプレイの再開時期に「差異は出る」可能性も指摘した。
地元の不安が根強い中で、米軍が再開を急いだ理由について「島しょ防衛、日本の安全保障に資するために運用していく必要があるということに尽きると思う」と語った。
オスプレイの事故を巡っては23年11月29日、鹿児島・屋久島沖合で訓練中だった米空軍横田基地(東京)所属の1機が墜落。乗員8人全員が死亡した。米軍は部品に不具合がある可能性を指摘し、保有する全てのオスプレイの運用停止を発表。陸上自衛隊も飛行を見合わせていたが米軍は8日、運用停止の解除を発表していた。【源馬のぞみ】