野党の踏ん張りのなさが自民党の強気の姿勢を許した(2024年3月9日『日刊スポーツ』-「政界地獄耳」)

★今月17日の党大会で政治とカネの問題をリセットしたい自民党だが、6日の参院予算委員会で国民民主党舟山康江の「今回の裏金、派閥からお金をもらっていたにもかかわらず、どこにも記載していなかった。記載のない裏金は、いくら後付けで政治団体の収入として記載したとしても、個人の所得として捉えるべきであり、申告納税を促すべきではないか」の問いに、首相・岸田文雄は「政治家の関連政治団体が、派閥から政治資金を受け取る行為には、法人税の課税関係は生じない」とし「現時点において、お尋ねのような納税を促す等の対応は考えていない」と強気の姿勢を崩さない。

衆院で予算が通れば後は押し切るという判断なのか。立憲民主党小沢一郎が指摘するように「(立憲が徹底抗戦を掲げながら2日の衆院通過を許容したことは)意味不明の結末だ。衆院予算委員長の解任決議案を出して、その委員長が招集した委員会に出席するのも摩訶(まか)不思議な話。本当にやる気なのか、やらない気なのか。目標がはっきりしないから、むにゃむにゃむにゃで終わっちゃう。国民にとってもわかりにくい。いまの立憲が問われているのは、そこだよ」というように、野党の踏ん張りのなさに自民党の押し切る戦術が功を奏した。

★7日の自民党政治刷新本部では首相が「さまざまな事件が生じた時に、多くの国民が『政治家が責任を取らないのか』とみる原因が、私たちの『政治は特別のものだ』という特権意識にあるとすれば是正し、政治家も当然の責任を取る改革を進めなければならない。前例や慣行にとらわれることなく、自民党の抜本的な出直しを進めなければならない。国民の信頼を取り戻すため、自民党が変わらなければならない」と、ふんわりした説明をして党総裁一任でまとまった。党内からは「処分の規定議論ばかりで実際の処分はどうなのか。国民やメディアの議論を挟まず、将来の復権に道を残すでは意味がない」との声も聞かれる。(K)