東京都の非正規公務員のスクールカウンセラーが大量に「雇い止め」されたのを受け、2002年度から都スクールカウンセラーとして働く遠藤みち恵さん(62)らが取材に応じた。「250人が一斉にクビを切られて怒りと絶望を感じる」。更新上限に達したため公募試験を受けたが、補欠に当たる「補充任用」と1月下旬に通知され、4月からの正式採用はされていない。
◆校長「評価A。続けてほしい」…なのになぜ?
「若い世代が安心して働けない。人生設計もできない」と語った東京都スクールカウンセラーの遠藤みち恵さん=東京都内で
遠藤さんは都立高校1校と区立小学校2校を23年度は担当する。勤務実績が評価されたから20年以上契約を毎年更新し、複数校を任されたと思っていた。
当初は「学校側は私に辞めてほしかったのか」と自分を責めた。だが、校長から「評価をAで出した。続けてほしいのになぜこのようなことが起きるのか。困る」と言われ、現場に求められていたと知った。「遠藤さんだから言えたことがいっぱいある」と動揺して泣く保護者もいた。
大規模な雇い止めが起きていることを知ったのは、1〜2月に労働組合が都スクールカウンセラーに実施した24年度の採用状況を聞くアンケートがきっかけだった。「年齢で切られたかと思ったが、次世代を担う働き盛りの人も切られていた。若い世代が安心して働けない。人生設計もできない」と話す。
◆「人生を破壊した」のに他人ごとのような都教委
労組に加入し2月26日の都教育委員会との団体交渉で、出席した都教委職員の名字を呼んで思いを訴えた。組織として決めたため雇い止めは問題ないとする都教委の姿勢が人ごとのようで、「あなたたち一人一人が私たちの人生を決め、破壊した」との責任を感じてほしかったからだ。
別の都スクールカウンセラーも5日、遠藤さんと同じく割り切れぬ思いを吐露した。2月の都議会で浜佳葉子教育長が公募する理由を「雇用機会公平性の確保」と答弁した点について、「都スクールカウンセラーの雇用の機会を設けるメリットと、250人の雇い止めされたスクールカウンセラーを頼っている何百人の子どもと保護者への影響を比べて考えてほしい。雇い止めは切実な相談ニーズをないがしろにする判断だ」と話した。(畑間香織)