能登半島地震による液状化が、石川、富山、新潟、福井の4県32市町村の少なくとも1724カ所で起きていたと、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)のチームが5日、東京都内で開いた報告会で発表した。1995年の阪神大震災より多く、2016年の熊本地震も超える見通し。
チームによると、能登半島地震における液状化の全体像がわかったのは初めて。液状化しやすい砂丘や埋め立て地が多く、地震の継続時間が長かったことが被害を大きくしたとみられる。
チームは被害の報告や航空写真などをもとに1~2月に計12日間、現地を調査。250メートル四方に区画を区切り、液状化による噴砂や噴水が起きた場所を数えた。
国土交通省の調査では、日本海側特有の砂丘の上にある石川県内灘町や新潟市などで多くの住宅被害が報告されていた。しかし今回の調査では、液状化自体が多かったのは、石川県七尾市343カ所▽珠洲市213カ所▽輪島市134カ所――などと、震源に近い能登半島北部の自治体だった。震源から最も遠かったのは、約180キロ離れた福井県坂井市の福井港だった。全体では砂丘と砂州の被害が4分の1程度に上り、他の地震に比べても割合が高かった。
今回の被害は1724カ所で、調査がまだ半ばのため、最終的に2000カ所を超えるという。これは阪神大震災(1266カ所)、熊本地震(1890カ所)より多い。東日本大震災は8600カ所だった。
チームの先名重樹・主任専門研究員(地震地盤工学)は「液状化は対策を行わない限り同じ場所で何度も発生する。個人での対策は難しく、地域一帯で国や自治体の支援制度を活用することが大事だ」と話した。【山口智】
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