検察側「医師が知識悪用」 ALS嘱託殺人事件、求刑は懲役23年(2024年3月5日『毎日新聞』)

事件の主な構図 

事件の主な構図

 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う女性(当時51歳)の依頼に応じて殺害したとして、嘱託殺人などの罪に問われた医師の大久保愉一(よしかず)被告(45)の判決が5日、京都地裁で言い渡される。起訴内容を認めたうえで、女性の「安楽死」への願いをかなえたと語った被告。死生学や生命倫理を専門とする鳥取大医学部の安藤泰至(やすのり)准教授はインタビューに応じ、「本当に尊厳を守ったといえるのか」と疑問を投げかける。

 大久保被告は、知人で元医師の山本直樹被告(46)=1審・実刑判決で控訴中=と共謀して2019年11月、SNS(ネット交流サービス)で知り合ったALS患者の女性から依頼を受け、薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人罪に問われている。山本被告の父(当時77歳)を死なせた殺人罪でも起訴されており、1月から公判が始まった。