拡声器で「帰れ」「ヘイトデモ中止」性別変更反対の女性デモに3度目の妨害行為(2024年3月3日『産経新聞』)

性同一性障害特例法の廃止を唱える女性団体(右側)のデモ活動に、「差別だ」などと批判を浴びせる集団が再び現れた

女子トイレや女子更衣室、女湯などに男性が入ることを反対する「女性の権利と尊厳を取り戻す会」が2日、東京・新宿でデモ活動を行い、戸籍上の性別変更を可能にする性同一性障害特例法の廃止を訴えた。こうしたデモ活動に対しては妨害行為が繰り返されており、この日も同会の主張に反対する集団が現れて、デモの参加者に罵詈雑言を浴びせていた。

特例法を巡っては、広島高裁で性別を変更する要件の一つである「変更後の性別の性器に近い外観を備える」(外観要件)の規定の合憲性について審理が行われる予定だ。

デモに参加する女性らは、この規定が違憲となった場合、「体は性別適合手術をしていない男性のままで、戸籍の上では女性」という人物が現れ、「女性専用スペース」を共有する可能性が生じるとして、強い懸念を抱いているという。

一方、昨年10月や12月のデモ活動では、マスクやサングラスで顔を隠す参加者に対し、執拗に撮影したり、拡声器で「差別者、帰れ」「へらへら笑うな」と罵声を浴びせたりする集団が現れていた。

この日も同様だった。デモが始まる前から、多様性のシンボルとされるレインボーのフラッグを掲げた集団が「トランス差別扇動デモ」「言い返してみろよ、ただの差別なんだよ」などと持論を展開していた。

「男は男、女は女」と訴える「女性の権利と尊厳を取り戻す会」のメンバーら

警察官が先導する形でデモ参加者が移動を始めると、拡声器越しに「ヘイトデモ中止」「トランス差別は今すぐやめろ」「帰れ」と興奮した様子で繰り返した。デモの参加者は「男は男、女は女」などと訴えても、周囲に声がほとんど届かなかった。

デモの後、同会の青谷ゆかり共同代表は「妨害は良くないと思う。妨害する音を小さくしてほしい。こちらの主張が伝えられない」と訴えた。妨害する人々に対しては「口封じするのではなく、お互いの意見について話し合いたい」と語った。(奥原慎平)

女性団体代表「男性は女性になれない」

「女性スペース守れ」有志デモに罵声

 
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