政倫審で「説明責任」を果たした? 元々、疑惑追及の機能は限定的…参考人招致、証人喚問との違いは?(2024年3月2日『東京新聞』)

 国会には疑惑を持たれた議員らへの質疑を行う場として、証人喚問や参考人招致、そして2月29日と3月1日に開かれた政治倫理審査会(政倫審)がある。政倫審には出席義務がなく、うそをついても偽証罪に問われない。出席者にとって最も負担が軽いために開催へのハードルは低いものの、追及の場としての機能は低いのが現実だ。

◆うそをついても罪に問われない場

 政倫審は1985年、ロッキード事件を機に衆参両院に設置された。議員本人の審査の申し出か、委員の3分の1以上の申し立てと過半数の賛成で開催できる。今回は岸田文雄首相の出席表明を機に報道機関の取材も認めたが、原則は非公開。出席者の発言の真偽が検証できないまま、「説明責任を果たした」として、問題の幕引きに利用される可能性もある。
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会で弁明する西村前経産相=1日、国会で(代表撮影)

自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治倫理審査会で弁明する西村前経産相=1日、国会で(代表撮影)

 参考人招致は原則公開で、国会議員では2002年に政治資金流用疑惑で追及された加藤紘一自民党幹事長が応じた例などがある。ただ政倫審と同様、出席を断ることができ、うそをついても罪に問われない。招致の是非は、主要会派議員による各委員会の理事会などでの全会一致が原則で、招致自体が実現しないケースも相次いでいる。
 一方、出席拒否やうその説明で刑事罰に問われることのある証人喚問は、疑惑を持たれた議員らの発言をチェックする場としての機能が一定程度確保されている。防衛装備品の調達を巡る汚職事件では、07年に証人喚問に応じた守屋武昌元防衛次官がその後、偽証があったとして実刑判決が出た。ただ開催には全会派一致の慣行があり、実現へのハードルは最も高い。(坂田奈央)