気は早いが大谷翔平の結婚は政府の少子化対策より効果が期待できる(2024年3月1日『サンケイスポーツ』-「甘口辛口」)

日本人女性との結婚を発表した大谷翔平

 

■3月1日 とにかく驚いた。大リーガー、大谷翔平投手(29)が結婚を発表したニュースである。お相手は日本人女性という。全国が祝福ムードに包まれる中、「私がお嫁さんになりたかった」「うちの娘か孫をもらってほしかった」と残念がる声が少なからず、小欄の身近からも聞こえてくる。

 振り返れば昨年11月、大谷が愛犬デコピンちゃんの存在を公表したときからアヤしかった。練習や遠征のときなど一体、誰が世話をするのか…と誰もが思った。お相手は門外漢の勝手な妄想だが、デコピンちゃんのおでこを指ではじく〝デコピン〟などしない、犬にも優しい女性に違いない。

 29歳と言えば、男性の平均結婚年齢に近い。しかし、最近は男女とも自立志向が強いせいか結婚に興味を示さない人が増える傾向にある。リクルートが昨年、全国の20~49歳の未婚男女1200人を対象に実施したアンケートでも、約4人に1人が「(今後も)結婚したくない」と回答した。

 その理由は「金銭的に余裕がなくなるから」や「(相手に)行動や生き方が制限されるから」などだった。ちなみに、女優の故樹木希林さん(2018年死去、享年75)は、ロック歌手の故内田裕也さんと再婚する前、20代前半で俳優の故岸田森(しん)さんと結婚。のちに「結婚なんて若いうちにしなきゃダメ。物事の分別がついたらできないんだから」という名言で結婚のススメを説いた。

 ましてや、世界のスーパースター、大谷の慶事。結婚そのものの是非はさておき、世の未婚者の尻に火がつけば、気は早いが少子化の歯止めにも期待が芽生える。少なくとも、政府の打ち出す少子化対策より効果は大きいのではないか。(森岡真一郎)