「ここまで大々的に報道されると心が折れる」。第三者調査委員会からのセクハラ認定を受け辞職を表明した岐阜県羽島郡岐南町の小島英雄町長(74)。
28日に町内で開いた記者会見では、強気の姿勢で辞職を固辞していた27日から一転し、報道やそれに伴う町民からの反応を受け、責任を取って退く意向を示した。一方で、「嫌なら嫌と言ってほしかった」と最後まで全面的には自身の非を認めずに弁明を繰り返すなど、まとまりのない説明に終始した。 小島町長は記者会見で、第三者委による調査に対して「自分の意見はしっかり聞いてもらえなかった。違和感がある」と主張。一方で「(約90ページある)報告書は忙しくて9ページ目までしか読んでいない」とも。一連の報道に関連して「親族や友人から『負けるな』と電話があった」と打ち明けて涙を流し、一時退席する場面もあった。
記者会見は午後1時30分から。辞職時期についてこの時点では「今すぐにでも辞めたいが、それだと(報告書を)認めたことになる」と5月末を辞職時期とした理由を説明し、報告書への不満をぶつけていた。
一方、町議会は小島町長が辞職を申し出なければ、3月1日開会の定例会に不信任決議案を提出する予定だった。櫻井明議長(75)は28日午後4時過ぎの全員総会での話し合いを経て、小島町長に「不信任案は全会一致で可決される見込みである」と伝えたという。結果として、小島町長は同日夜に「3月5日付で辞める」と辞職時期を早めた。櫻井議長は「(5月まで町長を続けることは)もう無理だと諦めたのでは」と推察した。
第三者委によるセクハラ認定に関する報道が出た27日以降、町役場には町内外から抗議の電話が相次いでいるという。ある女性職員は「被害に遭った職員を思うといたたまれない。二度と同じことが起きないよう、職員同士で意見を出し合えるようにしてほしい」と訴えた。
27日の辞職の否定から一転、翌28日には辞職を表明し、時期も「5月末」から「3月5日」に変更と、揺れに揺れた2日間。町内に住む子育て中の20代女性は「子育て支援に力を入れている印象があったので、セクハラは残念に思った。事実なら辞職しかない」とあきれ顔だった。