法規制ない非正規多く「官製ワーキングプア」(2024年2月27日『日刊スポーツ』-「政界地獄耳」)

★22日の衆院予算委員会財務相鈴木俊一が「使い残しがある雑所得で、控除で引き切れない部分があるという判断の中、納税をするという方が可能性としてはあると思う。疑義が持たれた政治家が政治責任を果たす、そういう観点から判断されるべきものと思う」と政治家の納税は、あたかも努力目標かの説明に失望感が広まった。つまり、政治の裏金問題で国税庁すら「個人の収入という証明が難しい」と二の足を踏んでいるということだろう。裏金として政治家が蓄えていたカネを脱税かどうかの認定すらできないとなれば、国民は納得するだろうか。

共同通信によれば、自治体で働く非正規職員(会計年度任用職員)の数は、23年4月1日時点で74万2725人と総務省がまとめた。業務が増える一方、財政難で正規を増やせないのが背景にあるという。正規は280万人程度で、非正規は単純計算で職員の5人に1人を占める。非正規公務員がこれほど多いとは思わなかったが、男女格差の是正など働き方改革を推進しているのは民間企業だけ。役場などでは正規と非正規で仕事の中身や個人情報の扱いなどでの区別はあるのかもしれないが、これが教員ともなれば担任、部活の顧問と全く仕事内容は同じでも収入格差は大きい。非正規公務員は民間では保障されている無期転換ルールや雇い止めに対する法的な規制も適用がない。同一労働同一賃金など夢のまた夢で、給与が低く契約も不安定でいつクビになるかわからない。「官製ワーキングプア」といえる。

春闘自治労は何か対策を持っているのだろうか。国会で納税すら政治家には義務化できない中、この異常事態は財政難だけでなく、行政の継続性にも重大な欠陥を生む。そうなれば自治体の中の問題だけではない。公共サービスの低下は、そのまま住民サービス低下につながる。正規の自分たちを守るだけのルールを適用しているだけでは、しゃくし定規でギスギスした社会を自治体が、作り出しているといえまいか。(K)