岸田文雄首相は28日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を巡り自ら衆院政治倫理審査会(政倫審)に出席し、公開の場で説明責任を果たす方針を表明した。首相官邸で記者団に「党総裁として自ら出席し、マスコミオープンのもとで説明責任を果たさせていただきたい」と語った。現役の首相が政倫審に出席するのは初となる。早ければ29日開催の見通しだ。
首相は政倫審が開催されない状況について「本来であるならば政倫審の仕組み、規則に従って開催に向けた一歩が踏み出されるものと昨日も期待していた」とした上で、「与野党の駆け引きの中で開催の見通しが立たないことは極めて残念なことだ」と指摘。「今の状況のままでは、ますます国民の政治に対する信頼を損ね、政治不信がますます深刻になってしまう。強い危機感を感じていた」とし、自ら出席することを決めたと語った。
ネット中継も含めた全面公開の是非について「具体的な形式は当然、政倫審の現場において判断されるものだ」としつつ、「いずれにせよマスコミオープンの場で説明責任を尽くしていきたい」と表明。安倍派幹部の一部が公開の場での説明を渋っていることを念頭に、「政治の信頼回復に向けて、志のある議員に政倫審をはじめ、あらゆる場において説明責任を果たしてもらうことを期待している」と呼び掛けた。
首相は表明に先立ち、浜田靖一国対委員長に出席に向けた手続きを進めるよう指示。浜田氏は立憲民主党の安住淳国対委員長と国会内で会談し、首相の意思を伝達した。安住氏は会談後、記者団に、首相の出席理由について、浜田氏から「(自民党)総裁として、自らのパーティーについて弁明したいということではないか」との言及があったと説明。「拒むものではないが、当該事案が政倫審の理由となるのか、理由を聞いてから判断したい」と語った。【森口沙織、池田直、高橋祐貴】