セイシュン?それともアオハル?(2024年2月26日『宮崎日日新聞』-「くろしお」)

 テレビの料理番組で「レンチンじゃがいもの何とかソースがけ」というものを作っていた。ボーッと見ていてふと「レンチンって…今の電子レンジはチンていうのか?」という疑問が頭をよぎり調べてみた。

 自宅や会社の休憩室のものなどいくつか試したが、いずれも「チン」ではなかった。周囲の人に聞いても多くは「ピー」だった。つまり、もはやレンジは「チン」とはいわないが「レンジでチンする」の「レンチン」の言葉だけが生き残っているということらしい。

 思えば同じような言葉はほかにも。「合コン」「プリクラ」が元々は「(男女)合同コンパ」「プリント倶楽部(くらぶ)」だったことを意識する若者はいまい。そういえば冒頭の「じゃがいも」だってジャガタラ(現在のジャカルタ)からきた「ジャガタライモ」が略されたものだ。

 話題になっているドラマ「不適切にもほどがある!」の中で、主人公が勤めるテレビ局のプロデューサーが、新番組のタイトルを「4文字に略せるもの」にこだわっていた。SNS上で検索しやすいというのが理由だったが、SNSが生まれるよりもずっと前から4文字への省略は日常だったのだ。

 最近「青春」を訓読みした「アオハル」という言葉をよく見聞きする。セイシュンもアオハルも同じ4文字(4拍)で、言い換える必要はない気もするのだが、確かにアオハルには独特の語感がある。いずれ何かの機会にしれっと使ってみたいと思っている。