「無料点検してあげる」からの…屋根工事トラブル急増 5年間で2.4倍 防犯意識の高まりに付け込む(2024年4月28日『東京新聞』)

 
 屋根の点検を持ちかけて不要な代金を払わせるなどの屋根工事のリフォーム業者を巡り、全国の消費生活センターに寄せられたトラブル相談が2023年度は7845件と過去最多で、5年前の2倍超に増えたことが国民生活センターへの取材で分かった。新型コロナウイルス禍で在宅が増えた上、多発する自然災害に伴う防災意識の高まりが背景にあるとみられ、警視庁も注意を呼びかけている。(小倉貞俊)

◆訪問販売の相談1万1167件は過去最多、7割が屋根

 センターによると、訪問販売のリフォーム工事全般に関するトラブル相談は年々増えており、23年度は1万1167件(前年度比1068件増)と過去最多を更新。このうち「点検商法」など屋根補修工事の相談は7845件(同比1293件増)と7割を占め、3240件だった18年度から2.4倍まで増えた。
 
 屋根工事の点検商法は、「近所で工事を始めるのであいさつに来た」と突然訪問し、「屋根瓦がずれているので無料点検してあげる」「このままでは瓦が落ちて隣家に迷惑がかかる」などとせかして不安をあおり、望まない工事をその場で契約させる手口だ。
 センターは増加要因を、在宅者が増えたコロナ禍の影響に加え、近年頻発する台風や地震などで「防災意識が高まる中、その不安に付け込んでいる」と指摘。相談者の7割を60歳以上が占めており、「特に高齢者が狙われ、被害に遭いやすい」と分析した。

◆戸建て、不安あおり、追加工事…警視庁も警戒呼びかけ

 一方、警視庁にも屋根工事のリフォーム詐欺の相談が数多く寄せられ、昨年に受けた相談は、一昨年の2.5倍に上るという(件数非公表)。
 
屋根工事を巡るリフォーム詐欺の急増について住民(左)に注意を呼びかける警察官=東京都内で

屋根工事を巡るリフォーム詐欺の急増について住民(左)に注意を呼びかける警察官=東京都内で

 今月26日には、東京都内の住宅街で、警察官が一戸建てを訪問。「最近、飛び込み営業の悪質なリフォーム業者が増えています。気を付けて」などと伝え、新たに作成した注意喚起の防犯ステッカーを配布。70代の主婦は「前も怪しい業者が来た。町内みんなでステッカーを貼り、地域の防犯意識を高めて被害を防ぎたい」と応じた。
 警視庁生活安全総務課によると、悪質リフォーム業者の特徴は、
(1)地区ごとの営業担当者が手当たり次第に一戸建てを訪問
(2)親切なふりをして不安をあおる
(3)屋根工事の契約後、さらに外壁補修など追加工事を契約させる
(4)ワゴン車ではなく普通乗用車にはしごを積載
など。同課の二宮健課長は「突然訪問を受けても点検させたり契約したりせず、不審なら警察に相談してほしい」と話した。