大手総合スーパー、イトーヨーカドーの道内全6店舗が来年にかけ撤退することを表明した。
このうち4店舗は譲渡先が決まったが、北見店は閉店し、札幌・福住店は今も交渉中という。
ヨーカドーを含むセブン&アイグループでは稼ぎ頭のコンビニ投資を優先し、スーパーは首都圏などに集約するとの事情がある。
加えて郊外型店舗やネット通販の伸長が背景にあり、ヨーカドーに限らず各地で撤退が相次ぐ。
気がかりなのは福住店など一定の人口を抱え、利便性の高い店でも先行きが不透明なことだ。帯広中心部では長崎屋が来月全面閉店し地元企業が新施設を計画する。
高齢化の中で近くに店舗がない「買い物弱者」問題は切実だ。自治体は民間や地域と協力し、商業機能の維持を探る必要がある。
ヨーカドーは1975年に帯広店が道内1号店として進出し、半世紀の歴史を持つ。ピークの2006年には15店を展開していた。
全国スーパーでヨーカドーより早く道内進出したダイエーも15年に撤退した。一方でイオン北海道や地場大手は食品部門を強化し、小型店展開などで基盤を固める。
専門家は「1カ所で衣食住がそろう総合スーパーは消費多様化の時代では役割を終えた」という。
とはいえ普段の生活に欠かせぬ存在だ。宅地開発も総合スーパー立地と一体で進んだ経緯がある。
閉店するヨーカドー福住店は地下鉄駅開業の翌年に駅直結施設としてオープンした。当初はスーパーと百貨店の中間業態だった。
地域の人口は1万6千人に増えたが、プロ野球日本ハムが本拠地を近くの札幌ドームから北広島に移して以降は客足が減っている。
従来の「買い物弱者」問題は過疎地に多く発生し、小規模なコンビニ誘致や移動販売車導入が自治体の主な対策とされてきた。
都市の住宅街では新たな対応が求められる。民間任せでは済まされない。5年前閉店したヨーカドー釧路店は銀行の支店が残るほかは空きビル状態が続いている。
滝川では西友撤退で不振が続き3年前閉鎖した駅前商業ビルを市が昨年取得した。民間主導は難しいと判断し、解体後に交流施設を建設し再開発拠点にするという。
商業拠点の撤退は物流網縮小を招きかねない。トラック運転手不足は深刻化しており、一度途絶すれば再構築するのは難しい。
手をこまねいていては地域衰退につながる。閉店ダメージを緩和する自治体主導の方策が大切だ。