吸い殻拾い続けて6万本 仙台の高齢者14人「やれる範囲で」合言葉に5年間地道な活動続ける(2024年2月24日『河北新報』)

仙台市青葉区の八幡、国見、貝ケ森周辺に住むお年寄りたちが、路上に捨てられたたばこの吸い殻を拾う活動を続けている。「やれる範囲で」を合言葉に個別に取り組む形態で、5年間に集めた吸い殻は6万本を超えた。「街をきれいにしたい」との思いから、地道な環境美化に励む。

「またあった」。左手のカウンターを押しながら、たばこの吸い殻を拾う富田さん

 60~80代の住民14人が1、2カ月に1回、自宅付近を1人で1時間ほど歩き、吸い殻を中心に空き缶やプラスチックごみも拾う。

 最高齢の富田弘さん(81)は19日、自宅の近くを30分歩き、吸い殻50本を集めた。「かがんで拾うから、多いと腰が痛くなる」と苦笑しつつ、「他のみんなも頑張っている。『俺もやらなきゃ』という思いになる」と気を引き締めた。

 活動が始まったのは2018年11月。住民有志が仙台一中の学区内でボランティアに取り組もうと、ごみ拾いに着目した。実際に拾い始めると目立ったのが吸い殻で、1日に400本を見つけたメンバーもいた。

 19年5月からは吸い殻の数を全て把握している。数えていない時期を含む1年目(18年11月~19年10月)は5443本を回収。2年目以降は1万~1万5000本で推移し、5年目を終えた23年10月までの総数は6万2371本に上る。

 一堂に会するのは花見や芋煮会の年数回で、普段は電話やメールで本数を報告し合っている。「小学生からのねぎらいの言葉は一番の励ましになる」などと語り、活動をそれぞれのペースで楽しんでいる。

 取りまとめ役の島貫孝雄さん(75)は「好きな時に、好きな場所で、好きなだけ、と各自の判断に任せているのがいいのかもしれない」と長続きのこつを分析。「車や自転車に注意して街を歩き、ごみを探すのは脳の活性化になる。今後も無理のない範囲で続けたい」と意気込む。