耳は不自由だけど「歌いたい」 25日に岡崎で手話交えた紙芝居の読み語り会、終盤に歌も披露(2024年2月22日『中日新聞』)

しゅわたろうの紙芝居作品=岡崎市康生通西の市図書館交流プラザりぶらで

 耳が不自由な古川淑子さん(78)=岡崎市六名南=と、手話通訳者の柳瀬ルミ子さん(68)=同市滝町=のコンビ「しゅわたろう」が25日、同市康生通西2のショッピングセンター「岡崎シビコ」で、手話を用いた紙芝居の読み語り会を開く。オリジナルのストーリーに歌も交えた自信作が舞台を盛り上げる。(高木健吾)

 幼少期から絵が好きな古川さんと、耳の不自由な息子を持つ柳瀬さん。7年前、手話サークルで出会った2人は二人三脚で8冊の絵本を手がけた。その中の1点、今回披露する「新 たのしいちきゅう」は、新型コロナウイルスがまん延する現代の地球を舞台に、海の生き物が子どもたちに元気を与える物語。2022年3月に作った絵本版を多くの人に知ってもらおうと、手話を織り込んだ紙芝居に再構成した。

 発声が難しい古川さんに代わり、手話を柳瀬さんが音声で通訳する。だが、新型コロナが消え、地球が平和を取り戻す最終盤では、古川さん自身も声を出して歌い、子どもたちの喜びを全身で表現する。互いの口の動きを目視で合わせる難しいパートで、練習で最も時間を費やした。

 当初は歌パートも音声通訳を考えたというが、「古川さんの『歌いたい』思いに応えたかった」と柳瀬さん。趣旨に賛同したアシスタントの楠本洋子さん(62)=同市柱曙=の力も借り、3人で息の合った歌を届ける。古川さんは「足先から振動が伝わってくる」、柳瀬さんは「聞こえる、聞こえないにかかわらず、皆さん一緒に楽しんでもらえる」と手応え十分だ。

 読み語り会は午後2時から、1階催物会場で。県内を中心に活動する5人組手話バンド「無限ホープ」による演奏もある。入場無料。

手話を使った紙芝居の読み語りに向け練習する(右から)柳瀬さん、古川さん、楠本さん=岡崎市康生通西の市図書館交流プラザりぶらで