竹島の日 (2024年2月22日)

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竹島の日 国際法に基づく解決を促せ(2024年2月22日『読売新聞』-「社説」)

 昨年3月の首脳会談を機に日韓関係は改善しつつあるが、韓国が不法に占拠している竹島については進展が見られない。政府は韓国に粘り強く平和的解決を働きかけるべきだ。

 島根県などが主催する「竹島の日」の記念式典がきょう、松江市で開かれる。明治政府の閣議決定に基づき、1905年に県が竹島編入した日にちなんだ行事だ。政府からは、平沼正二郎内閣府政務官が出席する予定だ。

 日本は江戸時代の17世紀半ばに竹島の領有権を確立した。51年のサンフランシスコ平和条約でも日本領であることが確認されている。竹島は、歴史的にも国際法上も日本固有の領土だ。

 日本国際問題研究所は昨年、旧海軍1905年作成の「日本近海水先図」に、竹島と表記されていたことを確認した。島根県編入を受けて表記したとみられる。

 地図はこの頃から日本国内で販売されており、広く竹島の存在が浸透していたと言えるだろう。歴史的な研究を重ね、日本の主張を補強していく意義は大きい。

 政府は竹島問題について、韓国に再三、国際司法裁判所(ICJ)への付託を提案しているが、韓国は拒否している。韓国の 尹錫悦ユンソンニョル 政権に対し、国際法に基づく解決を求めていきたい。

 国民に領土への関心を高めてもらうため、啓発活動にも力を入れねばならない。

 日韓関係の改善は、尹政権が昨年、元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟で、韓国の財団が日本企業に代わって賠償金相当を払う解決策を示したことが大きい。

 だが、韓国の裁判所は、昨年末に勝訴が確定した韓国人男性に対し、日立造船が裁判所に預けていた供託金を原資に「賠償金」として670万円を支払った。

 政府はこれまで、企業に実害が及ぶのを避けるため、供託金を預けないよう求めていた。しかし日立造船は2019年、韓国の裁判所から、資産の差し押さえを免れるには供託金が必要だと迫られ、支払いに応じていたという。

 そもそも日本企業に賠償を求めた判決は、請求権問題の「完全かつ最終的な解決」を明記した日韓請求権・経済協力協定に反している。また、供託金を原告に支払った裁判所の判断は、尹政権の決定を 蔑ないがし ろにするものだ。

 事態を放置すれば、日韓関係は再び悪化してしまう。政府は韓国政府に対し、日本企業の不利益の解消に加え、尹政権の解決策の徹底を求めていく必要がある。

 

竹島 対韓外交の主題に据えよ(2024年2月22日『産経新聞』-「主張」)

昨年の「竹島の日」の記念式典=5年2月22日松江市(安元雄太撮影)

 

 2月22日は「竹島の日」だ。日本固有の領土である竹島島根県隠岐の島町)が韓国に不法占拠されてから今年で70年になる。

 竹島北方領土と並んで返還を必ず実現しなければならない日本の島だ。韓国は日本に謝罪し、返還すべきである。

 日本政府は返還に向けた外交、運動を全力で展開しなければならない。だが、そうなっていないのは残念だ。

 北方領土の日(2月7日)は政府が制定し、東京での返還要求大会には首相や関係閣僚が出席している。一方、竹島の日島根県が平成17年に条例で制定したものだ。松江市で毎年開かれる県主催の式典には、政府から内閣府政務官が出席するにすぎない。返還運動に取り組む県関係者の努力には敬意を表するが政府の姿勢は弱すぎる。

 竹島は江戸時代から漁業中継地として日本人が利用していた。政府が竹島島根県編入したのは明治38年2月22日のことで、当時どの国からも抗議はなかった。昭和26年9月調印のサンフランシスコ平和条約は日本に竹島放棄を求めなかった。国際社会は日本領と認めていたのである。

 ところが日本が先の大戦に敗れ占領されていた27年1月、韓国は日本海に沿岸水域の主権をうたう「李承晩ライン」を突然設定し、竹島をその中に取り込んだ。日本が独立を回復する直前をねらった火事場泥棒的な主権侵害である。

 韓国は、29年6月には沿岸警備隊竹島に上陸させ、以来約70年も不法占拠を続けている。29年8月には竹島から海保巡視船に約200発もの銃撃を浴びせた。

 安倍晋三政権(当時)は平成25年2月に閣議決定した答弁書で「竹島の日」を政府制定にすることを検討するとした。自民党は24年衆院選で、竹島についても政府主催の式典開催を公約した。だが、いずれもうやむやになってしまった。

 政府の腰の定まらない対応が北朝鮮をにらんだ韓国への配慮だとしたら筋違いも甚だしい。対日関係改善を目指しているという尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の下でも韓国軍は竹島周辺で演習を実施した。主権侵害が続く現状から目をそらしてはならない。政府は竹島を取り戻すためにもっと努力すべきである。

 

竹島の日」を迎えて 民間交流で土台固めを(2024年2月22日『山陰中央新報』-「論説」)

 

米子空港の到着ロビーで歓迎を受けるソウル便再開第1便の搭乗客=2023年10月25日、境港市佐斐神町


 「戦後最悪」といわれた日韓関係は昨年3月、岸田文雄首相と韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が元徴用工問題を巡る解決策で合意したことで劇的に改善した。とはいえ、竹島島根県隠岐の島町、韓国名・独島(トクト))を巡る領土問題になると、韓国側の雪解けムードは途端にしぼんでしまう。

 それは年明け早々、如実に表れた。元日の能登半島地震で日本の気象庁竹島津波注意報を発令したのを受け、韓国国防省が「強力に抗議し、是正措置を求める」と声明を発表した。抗議しないと、日本の領土であることを印象付けるからだ。

 国防省は他にも対応に追われている。韓国の申源〓(サンズイに是)(シンウォンシク)国防相が国会議員だった昨年3月、竹島を巡って「韓日間で領有権紛争があるのは事実」と交流サイト(SNS)に投稿したとして昨年末に問題視され、国防省は1月3日、「日本が領土紛争を企てているとの意味だった」と釈明した。投稿は、島に警備隊員を常駐させ「領土問題は存在しない」と主張する韓国政府の立場に反する内容だったからだ。

 竹島を巡っては昨年末にも、韓国軍の教材に領土紛争地域であるかのように記述した箇所があるとして問題になり、国防省が全量回収を表明していた。過剰に映る対応の背景には、反日世論への対処もあるのだろう。

 こうした状況下できょう、島根県の「竹島の日」を迎えた。例年以上に韓国側の抗議活動は強まりそうだが、領土権確立に向け、臆する必要はない。

 本来、領土問題を担当するのは島根県ではなく、国である。戦後最悪の関係を脱した両国トップの指導力に期待したいが、ともに厳しい立場だ。

 内閣支持率が低迷する岸田首相は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けて自派閥の解散を率先したが、不人気は相変わらず。現職閣僚と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点も再び問題化し、青息吐息の状態で、とても領土問題に本腰を入れる雰囲気はない。

 尹大統領に対しても韓国内では、元徴用工問題の解決策を念頭に「韓国が一方的に譲歩しただけではないか」という不満が根強く残っており、4月の総選挙で与党が敗れれば、レームダック(死に体)化が進むのではという懸念も広がっている。

 手詰まり感が改善しない中、われわれが今できることは民間レベルでの交流促進しかない。交流を深めて互いの考えを理解することが、将来的な問題解消への土台固めになるはずだ。

 幸い日韓関係の悪化や新型コロナウイルス禍を乗り越え、米子空港を発着するソウル便が昨年10月下旬に運航を再開。搭乗率は4カ月連続で80%以上の高い水準を維持している。

 また、境港市と韓国東部の東海(トンヘ)市を結ぶ定期貨客船の運航も再開する計画。韓国の船会社が5月の試験運航を経て、7月の正式運航を目指すという。

 日本によって植民地支配された過去を持つ韓国は、歴史問題に敏感だ。それが日韓関係に刺さる「とげ」となり、繰り返し政治問題化してきた。しかし、相手への攻撃と不信からは何も生まれてこない。

 長期的な取り組みになるだろうが、竹島を抱える山陰から民間交流を積極的に進め、互いの理解を深めることが、刺さったとげを取り除く一手になる。

 

猫の日」と「竹島の日」(2024年2月22日『山陰中央新報』-「明窓」)

三重県伊勢市猫カフェの猫。2月22日は「猫の日」で、島根県の「竹島の日

 


島根県隠岐の島町竹島(聯合=共同)

 きょう2月22日は鳴き声「にゃん(2)にゃんにゃん(22)」の語呂合わせから「猫の日」。愛猫家の学者や文化人らでつくる「猫の日実行委員会」が1987年に制定したそうだ

テレビ東京系のBSテレ東はきょう、朝から晩まで〝猫まみれ〟の特別編成で番組を放送するという。猫の日に合わせた取り組みも7年目。この日限定で社名を「BSキャッ東」に変更する徹底ぶりで、新たに社内に「猫プロジェクト」も立ち上げた。視聴者獲得へ「猫の手も借りたい」を地で行く戦略は突き抜けている

▼きょうは島根県の「竹島の日」でもある。こちらの制定は2005年。韓国との関係悪化を懸念し阻止を狙う外相や外務省高官の牽制(けんせい)に抗(あらが)い、県議会が条例制定にこぎ着けた。突き抜けた行動だった

▼この日に合わせて松江市内で開かれる竹島の日記念式典も、来年で20年の節目を迎える。とはいえ、「猫の目」のように内閣府政務官が代わる代わる顔を見せても、首相や担当相の出席はかなわないまま。専門家の講演が中心の式典もマンネリ化している

竹島問題を担当していた17年前、式典会場に日韓の専門家や将来を担う若者を集め、解決策を探る公開討論会を開いてはと関係者に提案したことがある。人選も難しく簡単ではないだろう。ただ、政府の意向を気にするあまり「猫なで声」のような行動をしていても、事態は「猫の額」ほども改善しない。(健)