老後の暮らしの頼みの綱である「年金」は、金額も受け取り方も千差万別。第一線で活躍する女性たちに「本音の年金対策」を聞いた。
あさのあつこさん:年金は貯蓄し投資で老後資金作り
あさのあつこさん(69才)は、「作家」という個人事業主だ。65才から国民年金のみを受け取りながら、いまも第一線で活躍している。
「受給している国民年金の直近の金額は月4万5000円足らずです。いまも収入があるので暮らせていますが、年金だけではとても無理ですよね。私自身、いつまで現役で仕事ができるかわからないので、年金は引退後のために手をつけずに預金してあります。
まだ現役ですし、受給開始を70才まで繰り下げようと考えたこともあるんです。でも、それで本当にプラスになるのかは結局、よくわからない。だから、繰り下げるのはやめました。
年金制度への疑問があったからこそ、外国株や日本株などいろいろな資産に分散されている投資信託で運用を続けてきました。私は勝負に打って出るよりも守る方が好きなタイプなので、少しずつ増えていくのがうれしくて。3人の子供に少しでも残せるように、これからも続けていこうと思っています。
お金をどう使うかはどう生きてどう死ぬかとイコール。子供や孫に渡したり、世のため人のために使ったり……それはきっと、一人ひとり違っていい。私自身、いまも考え続けていますよ」
荻原博子さん:まだまだ健康なので年金をもらうのはもっと先
経済評論家の荻原博子さん(69才)は、今年70才を迎えるが、まだ年金は受け取っていないという。
「私が受給できるのは国民年金のみですし、まだ健康で働けるので、少しでも受給額が増えるよう、繰り下げを選んでいます。
70才まで繰り下げると月に8万円ほどになります。でも、まだまだ元気ですから、年金をもらうのはあともう少し先でもいいかもしれませんね(笑い)。
自営業のかたは定年がないので、生涯現役で働きやすいでしょう。その場合は、5年ほど繰り下げておけば、それを一括で受給することもでき、それが“退職金の代わり”にもなる。
そのときの経済状況や体調面から、柔軟な選択をしてほしい。
年金をどう受け取るかを考える際に大切なのは、まずは『資産の棚卸し』。預貯金や不動産といったプラスの資産だけでなく、住宅ローンといったマイナスの資産もすべて書き出します。そして、1か月の収支をあらためることで、何をどう改善すればいいのか考えるきっかけになるはずですよ」
ショコラさん:計画性を持って65才からの受給を決断
ショコラさん(67才)が人気ブログ『60代一人暮らし 大切にしたいこと』を開設したのは60才のとき。“月12万円で暮らす生活”が幅広い共感を呼んでいる。
「60才からは企業年金を月5万円、65才からは公的年金を含めて月に合計12万6000円を受け取っています。受給が始まってから2年間はパートを続けましたが、繰り下げや繰り上げなどは特にしていません。
50代の後半から“65才まで働いて、その後は年金で暮らそう”と決めていました。受給開始直前の64才のとき、本当に年金だけで生活できるのかを確かめるために、年金事務所で見込額を確認しました。
その結果、これなら、年金だけでも暮らしていけるとわかったんです。ずっと家計簿をつけ続けていて自分のおおよその生活費を把握していたおかげですね。
年金のみの生活費の内訳は、住居費や水道光熱費などの固定費が6万円。食費が2万円で、残りの4万円を趣味や娯楽、医療費、美容費などの変動費にあてています。ムダなものを買わないよう、買い物は1日おき。週に最低2回はお金を1円も使わない『ノーマネーデー』にするのもマイルールです。値上げが続いているので、スーパーではPB(プライベートブランド)を選んで買うようにしています。
でも、洗濯洗剤やトイレットペーパーなどは以前から気に入って使っているもの。また、化粧品や美容院はコスパで選んでも、シャンプーだけはきちんとしたものにしています。お気に入りをがまんしないのが、日々の満足度を下げないコツでしょうか。
いまは、自分がやりたいときにやりたいことができる自由を持っているので、それがいちばんの贅沢だと思っています」
※女性セブン2024年2月29日・3月7日号
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