甘利明氏は「時速45万円でお金使い続けた?」 質問に岸田首相「ですから、適正に処理と認識」(2024年2月14日『東京新聞』)

甘利氏は、在任中の2021年10月1日から11月4日に自民党本部から8回に分けて計3億8000万円を受け取った。期間中には衆院選があった。首相は「選挙が近い、選挙の最中だからこそ党勢拡大、政策をアピールするなど党として活動しなければならない」と強調した。
政策活動費は、政党から議員個人に支給され、使い道を公開しなくて済む。首相は政策活動費の目的を「党勢拡大、政策立案、調査研究等に党役職に職責に応じて支出している。全額を政治活動のために支出していれば納税の申告の必要はない」と説明した。
甘利氏への政策活動費は、自民党総裁である岸田首相が支払っているため、井坂氏は「自分が支払った政策活動費が適正に使われたか確認する義務があるのではないか」と問いただすと、首相は「ですから適正に処理されていると認識している」と答えた。
衆院予算委で質問する立憲民主党の井坂信彦氏=国会で

衆院予算委で質問する立憲民主党井坂信彦氏=国会で

使い道の公開については「その内容については政治活動費、個人のプライバシー、企業の営業の自由、さらには外部の政治勢力や外国勢力に政治の方向性が確認されるなどそうした点を勘案して現状の取り扱いになっている」と述べた。
甘利氏が2019年の参院選で陣中見舞いで全国の自民党公認候補に100万円を配ったという中国新聞の報道に関連し、井坂氏は「3億8000万円の政策活動費が2021年の衆院選で違法な裏金として配られたのではないか。確認を」と迫った。
岸田首相は「報道は承知していないが、政策活動費は適正に使われている」と述べた。
政策活動費を巡っては、二階俊博議員に2020年、21年に計10億6930万円が党本部から支払われていた。
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自民・甘利前幹事長に「裏金1億円」ネコババ疑惑…落選危機だった自身の選挙に“流用”か(2024年2月15日『日刊ゲンダイ』)

また、新たな疑惑が発覚(自民党の甘利明前幹事長)/(C)日刊ゲンダイ
また、新たな疑惑が発覚(自民党甘利明前幹事長)/(C)日刊ゲンダイ
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甘利明・前幹事長が安倍派一掃人事で暗躍か…自民「裏金事件」で復権のブラックジョーク 裏金も統一教会も 自民党の「調査」とやらの杜撰さに国民の怒り 政治家が裏金を良しとし脱税も簡単にできるって、これ以上の裏切りはあるだろうか。

「私は未来を見通せる。その私がいなくなれば大変なことになる。未来は変わっちゃう」──あの街頭演説の陰で「裏金」をネコババしていたのか。ダーティーイメージがつきまとう甘利前幹事長に、また新たな疑惑だ。

 時は2021年の衆院選のさなか。使途公開の義務がない党の政策活動費(政活費)1億円を、落選の危機にあった自身の選挙に“流用”していた可能性がある。日刊ゲンダイの調べで、その痕跡が浮かび上がってきた。

  ◇  ◇  ◇

政治とカネ」をテーマに14日に開かれた衆院予算委員会の集中審議で、野党は事実上の「裏金」である自民の政活費を追及。立憲民主の井坂信彦議員がターゲットに据えたのは、岸田政権下で幹事長を務めた甘利氏だ。在任期間は21年10月1日から11月4日までの35日間。このわずかな期間に甘利氏は8回に分け、計3億8000万円の政活費を受け取っていた。在任時には衆院選があり、支出は衆院解散の前後に集中。井坂氏は「自身の選挙に使ったのではないか」と問いただした。

■当時は落選危機で錯乱状態

 なぜなら甘利氏は当時、衆院選の陣頭指揮を執る立場ながら、最終盤で全国遊説を見送り。立憲の新人候補の猛追を受け、落選の危機が強まり、自身の選挙区に張りついた。街頭では「私の手の中には日本の未来が入っている」「私の妨害をしたら、これは国家の行く末を妨害しているのと同じことなのであります!」と絶叫。ほぼ錯乱状態だった。結局、選挙区で敗れた甘利氏は比例復活したものの、幹事長として歴代2番目のスピード退任の辛酸をなめた。それだけに井坂氏の訴えには説得力がある。

金額も支出の時期の怪しさも突出

「私の妨害をしたら、これは国家の行く末を妨害しているのと同じことでなのであります!」と絶叫(2021年衆院選最終盤、地元での街頭演説で)/(C)日刊ゲンダイ
「私の妨害をしたら、これは国家の行く末を妨害しているのと同じことでなのであります!」と絶叫(2021年衆院選最終盤、地元での街頭演説で)/(C)日刊ゲンダイ
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甘利明・前幹事長が安倍派一掃人事で暗躍か…自民「裏金事件」で復権のブラックジョーク 裏金も統一教会も 自民党の「調査」とやらの杜撰さに国民の怒り 政治家が裏金を良しとし脱税も簡単にできるって、これ以上の裏切りはあるだろうか。

 日刊ゲンダイも当時の政活費の支出状況を確認すると、興味深い事実が判明した。衆院の解散から公示日の間は党幹部11人に計3億6500万円が支出されたが、公示日が過ぎてからはただ一人、甘利氏のみ。公示翌日の10月20日選挙終盤の同25日に5000万円ずつ、計1億円を受け取っていた。自民党関係者は「党幹部が公認候補の陣営に現金を配る『陣中見舞い』の原資は政活費。選挙応援に入った際、必ず金一封を手渡すのが慣例です」と語る。選挙終盤に地元に引きこもっていた甘利氏には、この自民の因習を守ることは不可能だったろう。

 また、直近の国政選挙における政活費の支出状況も調べたが、19年参院選は二階幹事長(当時)が公示直後に2回、計6500万円を、22年参院選は茂木幹事長が公示翌日に5000万円をそれぞれ受領。甘利氏のケースは金額も支出時期の怪しさも抜きん出ている。落選危機を脱するため、党の「裏金」をネコババした疑いは深まるばかりだ院選の経費を記す甘利氏の『選挙運動費用収支報告書』の出入記録に、この記載がなければ、選挙買収など公選法違反に該当するような使い道を疑わざるを得ません。否定するなら、政活費の使途を全面公開すればいいのです」(神戸学院大教授・上脇博之氏)

 ネコババ疑惑について甘利事務所に質問状を送付したが、期限までに回答を得られなかった。

 さらに中国新聞は14日、甘利氏が党選対委員長を務めていた19年の参院選で、8060万円の政活費を原資に全国の公認候補へ陣中見舞いとして「裏金」を配り回っていた疑いを報道。個人が年間に政治家や政治団体などに寄付できる上限額(3000万円)を定めた政治資金規正法に抵触する恐れがあり、違法性が認められれば公民権停止の憂き目が待っている。

 

 

 未来を見通せる甘利氏の目には、将来の自分のどんな姿が映っているのか。