学歴フィルターはいまも存在するのか? 「縛りは緩く」かつての就活とは様変わり...識者が指摘(2024年2月18日)

 

 

 

 

(図1)学歴社会への価値観(出典元:Job総研)

   学歴と、就職――。就活中は企業説明会などで「学歴社会」を感じることも少なくないのではないだろうか。いわゆる「学歴フィルター」の問題も気がかりだ。

   ただし、キャリアや就職・転職に特化した匿名掲示板を運営する「ライボ」の調査機関「Job総研」の「2024年 学歴とキャリアの実態調査」(2024年2月13日発表)によると、学歴社会の価値観について「とても古いと思う/古いと思う/どちらかといえば古いと思う」と回答した人は59.5%。

   一方で、学歴社会の必要性を聞いた質問では、「とても必要だと思う/必要だと思う/どちらかといえば必要だと思う」と回答した人は66.0%という結果に。とくに20代では「必要」派が73.9%となり、各年代で最多になった。

   「学歴社会」は古い考え方だが、いわば採用などの観点では意識せざるを得ない――。そんな価値観が見て取れるこの結果に、大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は、就活・採用においては「出身大学にこだわっていると採用予定数に達しない。そのため、学歴の縛りが緩くなっている時代」と指摘する。

2000年代後半、「学歴フィルター」の問題が明るみになると

   学歴社会と関連して就活中によく語られるのが、いわゆる「学歴フィルター」の存在だ。企業の採用活動の負担などを減らすために、学歴でふるいにかけるとされる。

   大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は、学歴フィルターについて、

「学歴フィルターが行われていたのは1990年代後半から2000年代前半で、学生が日常的に就職情報サイトを使い、企業が採用する学生を選べた就職氷河期のころです。
そして、2000年代後半になってメディアなど『学歴フィルター』が問題になると、『学歴差別をしている企業』というブランドイメージの悪化を逃れるため、学歴によるフィルタリングを大企業や外資金融がしなくなったという建前があります」

と指摘した。

   だが、一方で、学歴フィルターの代わりに使われるようになったのが、適性検査だという。

「最近では、書類選考前や書類選考と同時に、適性検査を実施する大企業が多いです。いわゆる能力検査は実質的にIQを図るようなものなので、優秀な学生を残すことができ、性格検査でミスマッチを防ぐこともできます」

   そして、目下、就活では学生が「売り手市場」で、

「これまで東大早慶を採用していた企業が、明治大学青山学院大学などの大学群を採用したりするなど、いってみれば出身大学にこだわっていると採用予定数に達しない。そのため、学歴の縛りが緩くなっている時代だといえます」

と説明した。