保護者なら誰しも、子どもを少しでも上の大学に入れたいと願うものだ。だからこそ「大学入試といえば一般入試」などという固定観念は捨てて、ぜひ「総合型選抜入試」を視野に入れてほしい。知らない読者も多いかもしれないが、じつは「憧れの大学への受験対策=日々の充実」につながる、魅力的な入試形態だ。
【写真】早慶、上智、明治…史上初の学部別「序列ランキング」を全公開する!
総合型選抜試験を利用しない手はない。『2025年大学入試大改革』(清水克彦著)から抜粋して、総合型選抜試験の全容と“合格”のポイントをお届けしよう。
前編記事『「偏差値50以下」でも早慶に…! 難関大学に「下剋上」する“スゴイ方法”を大公開~「2025年の大学入試」はこう変わる』では、総合型選別入試の全容についてお話した。
本記事では総合型選抜入試の「穴場」大学と、突破のコツについて発表しよう。
総合型選抜入試なら「MARCHに手が届く」
総合型選抜入試は、一般入試では分からない多様な学力を測る試験だ。そして下剋上が起きやすい試験ということは前回も申し上げたが、それは早慶上智といった難関大学だけでなく、MARCHクラスの大学にも当てはまる。
MARCHと呼ばれる各大学の一般入試以外の入学は案外少なく、明治大学の場合、一般入試で2万人以上が合格するのに対し、総合型・推薦入試では200人あまり、最も力を入れている中央大学でも、一般入試合格者が1万7000人前後なのに対し、総合型・推薦入試では、全学部を合わせても700人程度だ。
これは、それぞれの大学に付属校や系属校が多く、そこからの大量入学が見込まれているためと見られる。
では、「狭き門か?」というと、けっしてそんなことはない。
本音を言えば、一般入試で受ければ日東駒専あたりと目される高校生でも、総合型選抜入試なら、MARCHに手が届く可能性が高いのだ。
これも本音を言えば、先々の就職活動を見据えた場合、MARCHと日東駒専では大きく違う。
将来学歴フィルターに引っかからないために
近頃は、採用試験で「学歴不問」とする企業が増加傾向にはあるものの、いまだに、大手企業の場合、MARCHだと学歴フィルターにかからず、日東駒専だとかかってしまうケースが多い。その意味では、「MARCHクラスの大学に入ること=職業選択の自由度を増やすこと」という図式も成り立つ。
したがって、MARCHや関関同立クラスの大学に子どもを入れたいと考えている保護者、あるいは「どこを受けようか」と検討している高校生は、各大学の入試要項を読んだうえで、挑戦するか否か、判断してほしい。
■総合型選抜入試でMARCHや関関同立を狙う際、確認しておくべきこと
○「どんな学生を求めているか」を、入試要項でチェック
○「どの学部で実施されていて、出願条件は自分に当てはまるか」をチェック
○「出願書類、試験内容、実際の入試での競争率」をチェック
MARCHの場合、学部が多く、それぞれに特徴がある。ここでは穴場的な学部がこんなにあるという点だけ、2023年度入試の実情をもとに紹介しておきたい。
穴場学部を徹底紹介!
■総合型選抜入試でのMARCHの穴場の学部と突破のポイント(※出願要件は年々変わるので注意)
○明治大学:商学部で商業高校出身者対象の公募制特別入学試験があり、競争率は1~2倍程度と低い。文学部の出願に必要な各科目の評定平均値「3・5」と低め
○青山学院大学:他学部は民間英語検定試験のスコア提出が条件になっているが、コミュニティ人間科学部にはそれがない ○立教大学:穴場の学部はないが、文学部の競争率が教育学科を除き低め。民間英語検定のスコアが高い受験生は相当有利
○中央大学:基本は「合格すれば入学」が前提の総合型選抜入試で、他大学や他学部との併願を認めているため、滑り止めにできる
○法政大学:他大学に比べ競争率が各学部とも2~3倍と低め。半年以上の留学経験があれば有利
* 総合型選抜入試を駆使して、ぜひ将来の可能性を拡げてほしい。
さらに<「偏差値50以下」でも早慶に合格…! 難関大学に「下剋上」する“スゴイ方法”を大公開>では、総合型選抜入試で早慶上智を狙える方法をお伝えしています。
清水 克彦(政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師)
【関連記事】