来る4月28日(日曜)投開票で、3選挙区での衆院補選(同月16日告示)が行われる。
3選挙区とは、亡くなった細田博之前衆院議長の島根1区と、パーティー券の「裏金」問題で辞職した谷川弥一元衆院議員の長崎3区、そして、14日行われた初公判で、東京・江東区長選での買収を認めた元衆院議員、柿沢未途被告の選挙区だった東京15区である。
筆者が最も注目するのは、この東京15区だ。理由は後述するとして、柿沢被告の起訴内容は、昨年4月に行われた江東区長選で前区長の木村弥生被告を当選させるため、2月~10月の間に自民党区議や陣営スタッフらに現金約280万円を提供するなどしたほか、有料動画広告を配信したことだった。
小池知事の動向は?
公判で柿沢被告は「すべてを争わないことにした」と起訴内容を認め、「私の行動に端を発し、多くの人が巻き込まれた」と謝罪したという。
東京15区は、江東区全域を対象とする選挙区である。1994年に比例代表並立制が導入されて以来、2022年まで東京で唯一、単一特別区で構成される選挙区だった。
江東区は「江戸の伝統と未来が織りなす水彩都市」というキャッチフレーズが冠されている。確かに、俳人・松尾芭蕉が草庵を構えたことで知られる深川や、1662年創建の〝天神様〟のある亀戸が、江戸の風趣を伝える下町である一方、東京湾岸の有明や新木場、豊洲は未来都市さながらの景観を見せる新興地域だ。
その対照がまさに江東区の「強み」を象徴している。
都心への近さもあって人口流入が多く、若年人口や子育て世帯の流入も多いことから、10年ほど前から一部地域で「小学校が足りない」という問題も起きてきた。少子化問題どこへやら、という地域なのだ。
日本で最も「将来性」のある地域の一つと言って過言でない江東区だが、政治状況では近年、お寒い事態が続いてきた。
15区選出の代議士は、2代続けて「カネ」の問題で逮捕・起訴されている。前述の柿沢氏の前任は、「IR(カジノを含む統合型リゾート)汚職」で控訴審中の秋元司氏。地元の自民党関係者によると、「(自民党では)担ぐ人も、出たい人もいない」お通夜状態だという。
それ以前に、江東区は長年、「御三家が割拠する」選挙区といわれてきた。柿沢家と木村家、前々任の区長らを輩出した山崎家だ。何たる旧態依然。いわば「政治の家業化」を象徴するような地域だったのだ。
そこで、「政治の家業化をやめる」ことを重点政策項目の1つに掲げ、ベストセラー作家の百田尚樹氏と筆者が昨年旗揚げした政治団体「日本保守党」(代表・百田尚樹)は、この東京15区を〝国政初陣の地〟と決めたのである。
2月1日、柿沢被告が議員辞職届を出したその日に、「日本保守党 東京江東支部」設立を発表した。同9日、東京都選挙管理委員会で支部設立が受理された。
「日本保守党東京江東支部」の代表は当面、筆者が務める。4月の補選に向けて候補者の選出、体制づくりを急ピッチで進めているところだ。
この補選に「初の女性総理」への野心満々とされる小池百合子都知事がくら替え出馬するとの噂もある。筆者はその可能性は低いとみているが、出てこられるのなら大歓迎だ。
国政選挙初挑戦の日本保守党が胸を借りるなら、相手は大きいほどいい。筆者にとっては、2017年に『「小池劇場」が日本を滅ぼす』(幻冬舎)を上梓して以来の「因縁」もある。
カネとコネに塗れ、家業化した政治では、日本国民が豊かになれるはずはない。東京江東区から、日本の政治を変える―。日本保守党の挑戦に、ご注目いただければ幸甚である。
有本香
ありもと・かおり ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。