カジノを含む統合型リゾート(IR)を巡る汚職事件で、収賄罪と組織犯罪処罰法違反(証人等買収)に問われた元自民党衆院議員、秋元司被告(52)の控訴審判決で、東京高裁(安東章裁判長)は22日、懲役4年、追徴金約758万円の実刑とした1審・東京地裁判決(2021年9月)を支持し、無罪を主張する被告側の控訴を棄却した。実刑判決のため、秋元元議員は収監され、即日上告した。
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秋元元議員は4月28日投開票の衆院東京15区の補欠選挙に出馬し、国政復帰を目指す意向を表明している。ただ4月の補選は、秋元元議員の「後任」が公職選挙法違反で起訴され、辞職したことに伴う。ドタバタ続きの地元・東京都江東区の有権者は「政治家に裏切られ続けている」と厳しい視線を注ぐ。
22日午後2時過ぎ、東京高裁の102号法廷。秋元元議員は足を小刻みに揺らしながら判決を聞いていた。閉廷後、弁護人に「重要な問題に何も答えていない。これでは控訴審の意味はない」と憤ったという。
秋元元議員は2019年12月、国会議員として約10年ぶりに東京地検特捜部に逮捕された。当初は21年10月の衆院選に出馬意向だったが、前月に東京地裁で有罪判決を言い渡され、断念に追い込まれた。
この衆院選で15区の有権者が後任として選んだのが、野党候補として秋元元議員と議席を争ってきた柿沢未途元衆院議員(53)=自民党を離党、議員辞職=だった。政治刷新を願う地元の期待を背負い、当選後に自民入りした。しかし、23年4月の江東区長選を巡る買収事件でやはり特捜部に逮捕された。「国民の期待を大きく裏切った。万死に値する」として起訴内容を争わず、懲役2年、執行猶予5年の有罪判決が確定した。
同一選挙区の衆院議員が2人続けて有罪判決を受ける異常事態。秋元元議員は20日の出馬表明記者会見で「『不祥事の区』の混乱を収める」と訴え、意に介さない様子だったが、江東区に住む男性会社員(44)は「毎朝のように駅頭に立っている秋元元議員は、事件後は表に出てこない柿沢元議員より潔く見える。それでも再び政治を託したいかは別問題」と話した。【井口慎太郎】