秋元・柿沢両氏、続けて有罪判決 「裏切られ続けた」東京15区(2024年3月22日『毎日新聞』)

(左)衆院東京15区補欠選挙への出馬を表明する秋元司元議員=東京都江東区で2024年3月20日、井口慎太郎撮影。(右)東京拘置所を出る柿沢未途元衆院議員=東京都葛飾区で2024年1月18日、宮武祐希撮影

(左)衆院東京15区補欠選挙への出馬を表明する秋元司元議員=東京都江東区で2024年3月20日、井口慎太郎撮影。(右)東京拘置所を出る柿沢未途衆院議員=東京都葛飾区で2024年1月18日、宮武祐希撮影

 カジノを含む統合型リゾート(IR)を巡る汚職事件で、収賄罪と組織犯罪処罰法違反(証人等買収)に問われた元自民党衆院議員、秋元司被告(52)の控訴審判決で、東京高裁(安東章裁判長)は22日、懲役4年、追徴金約758万円の実刑とした1審・東京地裁判決(2021年9月)を支持し、無罪を主張する被告側の控訴を棄却した。実刑判決のため、秋元元議員は収監され、即日上告した。

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 秋元元議員は4月28日投開票の衆院東京15区の補欠選挙に出馬し、国政復帰を目指す意向を表明している。ただ4月の補選は、秋元元議員の「後任」が公職選挙法違反で起訴され、辞職したことに伴う。ドタバタ続きの地元・東京都江東区有権者は「政治家に裏切られ続けている」と厳しい視線を注ぐ。

 22日午後2時過ぎ、東京高裁の102号法廷。秋元元議員は足を小刻みに揺らしながら判決を聞いていた。閉廷後、弁護人に「重要な問題に何も答えていない。これでは控訴審の意味はない」と憤ったという。

 秋元元議員は2019年12月、国会議員として約10年ぶりに東京地検特捜部に逮捕された。当初は21年10月の衆院選に出馬意向だったが、前月に東京地裁で有罪判決を言い渡され、断念に追い込まれた。

 この衆院選で15区の有権者が後任として選んだのが、野党候補として秋元元議員と議席を争ってきた柿沢未途衆院議員(53)=自民党を離党、議員辞職=だった。政治刷新を願う地元の期待を背負い、当選後に自民入りした。しかし、23年4月の江東区長選を巡る買収事件でやはり特捜部に逮捕された。「国民の期待を大きく裏切った。万死に値する」として起訴内容を争わず、懲役2年、執行猶予5年の有罪判決が確定した。

 同一選挙区の衆院議員が2人続けて有罪判決を受ける異常事態。秋元元議員は20日の出馬表明記者会見で「『不祥事の区』の混乱を収める」と訴え、意に介さない様子だったが、江東区に住む男性会社員(44)は「毎朝のように駅頭に立っている秋元元議員は、事件後は表に出てこない柿沢元議員より潔く見える。それでも再び政治を託したいかは別問題」と話した。【井口慎太郎】