GDP(国内総生産)(2024年2月17日『しんぶん赤旗』-「潮流」)

 市場は浮かれています。バブル期以来の史上最高値を目前にした株価に。斎藤健経済産業相もこれまでの日本経済をふり返りながら「潮目の変化を迎えている」と手応えを口にしました

▼実体はどうか。国の経済活動の状況を表すGDP(国内総生産)は長期低迷によってドイツに抜かれ、世界4位に転落。日本の3分の2ほどの人口を考えれば国民1人当たり1・5倍の経済格差がついたことに。しかもドイツの年間労働時間の平均は日本より2割も短い

▼この間2期連続のマイナス成長となったGDPについて「見た目よりも非常に厳しい内容」と分析する専門家も。マイナスが続く内需については、とくに物価高による個人消費への影響を指摘し賃上げが景気の鍵を握ると強調しています

▼足元をみても停滞と衰退は顕著です。地方ではシャッター通りがひろがって久しく、土台を支えてきた農業や畜産業、漁業や林業も苦境にあえぎ、後継者不足も深刻です

▼ゆきづまる日本経済。株価の上昇や目先の利益ばかりを追いかけ、労働者や生産者、中小零細企業をいじめてきた結果でしょう。もうけをため込み、人を大事にせず、賃金や投資を抑える。そうした財界のやり方や、それに沿った政治から抜け出してこそ潮目の変化が生まれるのでは

▼「経国済民」。経済とは国を治め、人民を救済することです。ほんらいの意味に立ち返り、一人ひとりのくらしを温める。それが、この国に住む人びとの将来を照らすことにつながっていくはずです。