日本テレビは15日、昨年10~12月に放送したドラマ「セクシー田中さん」の原作者・芦原妃名子さんが脚本を巡って苦心し、自死したとされる問題を受けて「社内特別調査チーム」を設置すると発表した。
脚本家や小学館の編集者など関係者がコメントを出していくなか、制作側の責任者である日テレの対応に批判が集まっていた。
日テレ窮地…「セクシー田中さん」問題でプロデューサー沈黙のまま 凋落前のフジに酷似
だが、こうした問題は日テレに限ったことではない。今月13日、フジテレビ系アニメ「ちびまる子ちゃん」などの著作で知られる漫画家・故さくらももこさんの元夫で、音楽評論家の宮永正隆氏がX(旧ツイッター)で明かしたNHKの制作の闇がSNSで話題にあがっている。
宮永氏は1992年1月に放送されたNHKドラマ「さくら家の人びと~ちびまる子ちゃん一家のその後の生態~」での悔しい思いを綴っている。さくらさんが自ら脚本を書き下ろし、キャスティング案を提出したというが、『一切無視した酷い出来ドラマが「完成版」としてビデオで突然届いたのが放送数日前』『担当プロデューサーが「先生には叱られるかもしれませんが」と一筆添えられているだけ』と告白。
宮永氏らはすでに大々的に宣伝されている正月特番を止められないだろうと、諦めたという。
だが、内容は『現実のさくらの歩みをドラマ化というコンセプトなのに、現実と異なり、担当編集者はさくらの前で放屁ばかりする意味不明の描かれ方でおまけに、ラスト近くでさくらが「独り暮らしに際し祖母から渡されたお守り袋」を開けてみるとそこに入っていたのはコンドーム。それを見たさくら(富田靖子)は、おばあちゃんの愛情と先見の明を感じほのぼのという、
これまた史実ではない名誉棄損レベルの描かれ方』と明かした。
ファンからは《このドラマ覚えてる。なんだコレと思った》《これはひどい…本当にこんな事あるんだ》などと怒りの声があがったが、実はNHKもドラマやアニメなどの制作を巡ってたびたびトラブルを起こしている。
■出版社が意見することをNHKは「検閲」と
2012年にNHKでテレビドラマ化を予定していた作家・辻村深月氏の小説「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」を巡っては裁判にまで発展している。
原作者と著作権を管理していた講談社が、許容できる脚本内容でないまま制作を進めるNHKに白紙化を申し出たところ、NHKが約6000万円の損害賠償を求めて講談社を訴えている。
15年に講談社が勝訴(その後、和解)し、制作は中止されたが、講談社の公式HPで公開された見解には、『裁判のなかで、証人に立ったNHK幹部は、脚本の確認について、「放送局として、我々が作る編集内容に関して第三者が口を出せるということを認めてしまうこと自体が認められない。ほとんど検閲に当たります」と述べました。
管理委託を受けている出版社が、原作者の意向を受けて脚本に意見を述べることを「検閲」と捉えていることに、私どもは衝撃をおぼえました』と綴っていた。
改めて当時のNHKの姿勢に批判が集まり、《2015年の事だけどTV局が原作を舐めてるってめっちゃ伝わってくる》《芦原妃名子先生の自殺の件、民放だけじゃなくてNHKでもあんまり取り沙汰されないなーとか思ってたけど辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』のドラマが原作者のストップがかかった時に逆ギレ裁判起こしてたから同じ穴のムジナだった》などとの意見が相次いでいる。
また、18年にはNHKでアニメ化された故・犬丸りん氏原案の「おじゃる丸」の初代声優の小西寛子がNHK関連会社が「おじゃる丸」の音声を商品に無断流用し、事務所を通して問い合わせたところ、降板させられた過去があると告発。小西が警視庁に告訴状を提出する騒ぎになった。
その小西は、今月15日に自身のXで、同14日行われたNHKの稲葉延雄会長の定例会見で「セクシー田中さん」問題について「回答を控える」と語ったと紹介された記事に触れ、『芦原妃名子さんの話題やおじゃる丸に犬丸りんさんの話題に触れられるとこの件がNHKの主張として浮き出てくるから回避したんだなあ』とポストしている。
騒動は今後も広がりそうだ。