自民党は派閥裏金事件の逆風で都市部を中心に守勢が目立ち、党幹部から選挙後の「連立拡大」論が上がるなど切迫した雰囲気も漂う。これに対し、野党第1党の立憲民主党は政権追及を強める構え。比例票を巡る野党間の競合も激化しそうだ。
自民は終盤戦で、野党と競り合う選挙区に「人気弁士」を集中的に投入する。ただ、今回は対象が全国各地に広がっており、党幹部は「可能性のない選挙区を見切ることも必要だ」と指摘。党内からは、無党派層への浸透を困難視する声も漏れる。
厳しい結果を見越したかのような発言も出始めた。森山裕幹事長は20日のNHK番組で、連立政権の枠組み拡大の可能性を問われ、「協議は前向きにすべきだ」と含みを残した。党関係者は、日本維新の会などとの協力が念頭にあると解説。同時に「来年の参院選で不利に働きかねず、他の野党は見向きもしないだろう」とも語る。
「裏金議員」の推薦で「共犯」批判を受ける公明は、維新と大阪・兵庫の選挙区で激戦を展開している。そのさなかに「連立拡大」論が浮上し、党関係者は「そんな不義理はあり得ない」と自民に対する不快感を隠さない。