衆院選(27日)の期間中で唯一の「選挙サンデー」となった20日、各党幹部が大阪府を中心に関西を訪れ、街頭演説を行った。石破茂首相(自民党総裁)と公明党の山口那津男前代表は日本維新の会の本拠地である大阪などでそろい踏み。自公連立政権と維新の対決色が鮮明となった。東京・永田町の自民党本部や首相官邸が襲撃された事件を受け、厳戒態勢の中での舌戦となった。
首相は20日、保守分裂の和歌山2区から遊説をスタート。維新代表の前職と自民元職が争う大阪17区のほか、維新と公明の初対決となった大阪と兵庫の計6小選挙区では山口氏とともにマイクを握った。
首相は、大阪17区のJR鳳駅(堺市西区)前で「国民生活が片時も困らないような責任ある政治をするのは自民であり、公明だ」と訴えた。
来年4月に開幕する2025年大阪・関西万博に関し、1970年大阪万博に触れ「開会式8時間前に全てが完成した。予定された予算でできた。きちんとした日本を取り戻そう」と述べた。大阪・関西万博は海外パビリオンの建設遅れや予算の増額が批判されているだけに、大阪府市の行政を主導する維新を皮肉ったとみられる。
山口氏は大阪3区の大阪メトロポートタウン東駅(大阪市住之江区)前で、将来の発生が懸念される南海トラフ巨大地震を念頭に、維新の公約について「防災・減災が一つも出てこない。命と生活をおろそかにしている」と批判した。
演説会場では、街宣車を警護の警察が囲み、スタッフが金属探知機で聴衆の持ち物検査をする厳重な警備態勢が敷かれた。
維新は馬場伸幸代表や吉村洋文共同代表(大阪府知事)ら党幹部が府外で遊説し、大阪維新の会の横山英幸幹事長(大阪市長)が府内を回った。大阪16区の大阪メトロ新金岡駅(堺市北区)前での演説では、自民の派閥パーティー収入不記載事件について「一般社会では許されない。自公政権に国難を乗り切ることは絶対にできない」と強調した。
令和3年の前回選で府内13小選挙区に候補を擁立したものの全敗した立憲民主党は議席奪還を目指す。辻元清美代表代行は20日、かつて地盤としていた大阪10区のJR高槻駅(高槻市)で「世襲で裏金が自民候補だ。維新候補も不祥事続きだ」と述べ、自民と維新に切りかかった。
共産党の小池晃書記局長は京都府内でマイクを握り、国民民主党の玉木雄一郎代表はJR大阪駅(大阪市北区)近くで支持を訴えた。(沢田大典、藤谷茂樹)