連合が春闘で賃上げ「5%以上」を求める方針 中小は「6%以上」、大手との格差是正目指す(2024年10月18日『東京新聞』)

 
 労働組合中央組織の連合は18日、2025年の春闘で、基本給を底上げするベースアップを「3%以上」とし、定期昇給の分を合わせて「5%以上」の賃上げを求める方針を発表した。24年の要求と同水準だが、中小企業の労組は「6%以上」の要求とし、大手との格差是正を目指す。

◆「生活が向上したと実感した人は少数」

 中小向けに全体より高い賃上げ目標を掲げるのは、2014年以来11年ぶり。金額は、目標の「6%以上」に相当する組合員1人当たり平均で1万8000円以上を目安とする。11月に開く中央委員会で正式決定する。
 25年春闘の方針を記した基本構想では、「24年の春闘で33年ぶりの5%台の賃上げが実現したが、生活が向上したと実感した人は少数で、個人消費が低迷している」と指摘。賃上げの広がりの重要性を訴えた。
連合の芳野友子会長(資料写真)

連合の芳野友子会長(資料写真)

 同日に記者会見をした連合の芳野友子会長は「今年の春闘で、大手と中小・小規模事業者の格差が広がった。その是正を行いたい」と強調。「賃金、経済、物価を安定した巡航軌道に乗せ、デフレへ逆戻りさせないように取り組んでまいりたい」と述べた。
 連合の集計によると、24年の賃上げ率は全組合平均で5.1%だが、中小の賃上げ率は4.45%にとどまった。基本構想によると、日本全体の経常利益の6割を資本金10億円以上の大企業が占めている。25年春闘では、価格転嫁や適正取引などで中小企業が原資を確保しつつ、賃上げにつなげられるかが焦点になる。(竹谷直子)