◆裏金問題…自民候補の回答は「1~9点」
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題に関して、同党による調査や政治資金規正法改正などの対応が十分だったか聞いた質問では全体として厳しい評価となった。「対応は十分だ」を満点の10点、「全く不十分」を1点とすると、平均は2.43点だった。一方、自民候補だけで見ると1点から9点まで大きくばらついており、党としての見解が定まっていない様子がうかがえる。
自民党は平均5.14点の評価だが、各候補による評価の幅は大きい。最高の9点を付けた候補は「透明性が高まった」と答えたが、最低の1点を付けた候補は「法改正によるさらなる規制強化が必要」と回答。候補者によって見方が大きく分かれた。
野党は総じて評価が厳しい。立憲民主党は最高点を付けた候補でも2点で、平均1.17点。自民に対する対決姿勢は、各候補に浸透している。「調査は全く不徹底」「法改正は抜け穴だらけ」といった意見が並んだ。
◆改憲の必要性…自民は平均9.12、立民は3.44でも幅広く
改憲への認識を聞いた質問では、賛成と反対のほぼ両極端に二分された。改憲の必要性と緊急性が「全くない」を1点、改憲すべきで緊急性も「極めて高い」を10点とした全体平均は5.54点。結果的には、賛成と反対のほぼ中間が平均の立場となった。
自民党は党是としているだけあり改憲賛成が多く、平均点は9.12点。最低でも7点で、国民的な議論を深める必要性に言及した。10点を付けた候補は8人と最多で、自衛隊の明記や緊急事態条項の創設、時代の変化に対応する必要があるとの意見があった。
野党は護憲と改憲に二分された。立憲民主党は平均3.44点だったが、幅は1〜7点と、多様な姿勢が表れた。1点を付けた候補は「国民の改憲を求める声は大きくない」と回答。6点の候補は「9条は改正すべきではない」としつつ、首相の衆院解散権を定めた条項などを見直すべきだとした。
日本維新の会は改憲寄りで、平均8.67点。最も慎重な姿勢の6点を付けた候補は、十分な議論を経て「改正手続きを取ることは問題ない」としたが、緊急性は乏しいと回答した。賛成は自衛隊の明記に加え、「教育無償化」を盛り込むべきだとの意見も目立った。
共産党は全候補が1点と回答。複数の候補が「大軍拡と戦争する国づくりをすすめる憲法改悪には大反対」と答えたほか、「9条を生かした平和外交」の重要性を説いた。「改憲議論は結局のところ、軍国主義復活を目指す勢力の思惑だ」とする意見もあった。
選択的夫婦別姓の導入に関する賛否については、賛成とする候補が多かった。「強く賛成」を10点、「強く反対」を1点とした平均は7.45点。一方、保守系の政党では候補者間で温度差が目立ち、実現を求める声が多い世論調査の傾向とは隔たりが見られた。
自民党は全体で平均6.47点だが、3〜10点と幅があった。賛成は「困難を抱えている人の課題を解消すべきだ」との意見や、選択制なら反対する理由はないとの声もあった。慎重意見では「旧姓使用を進めるべきだ」「子どもの立場を考慮した議論が必要」との趣旨の見解もあった。
野党は一部政党を除き、賛成が目立った。立憲民主党は平均9.17点で、11候補が10点を付けた。賛成意見は「一般的に改姓を迫られる女性の側が不利益を体験することは明らかだ」など。ばらつきが出たのは、5点の候補が1人いたためで、親の都合で子どもの姓が「ころころ変わる」ことに懸念を示した。
日本維新の会は2〜10点で幅が大きく、平均は7.67。「銀行口座の書き換えなど面倒なことも多い」と実体験に即した賛成意見のがある一方、2点を付けた候補は「家族が同じ姓を持つことで一体感が保たれてきた」と強調した。
共産党は全員が10点を付けた。複数の候補が「家族の一体感」を理由に議論を棚上げしていると批判。「今は経済界も(実現を)求めている」と、時代の変化に対応すべきだとの指摘もあった。
国民民主党は2候補とも賛成で平均9.00点。記述回答では、多様な家族のあり方を受け入れるべきだとの意見がある一方、子どもが片方の親と別姓になることへの懸念の声があった。
れいわ新選組の候補は8点で、選択制なら問題ないとの認識。社民党の候補は10点で、諸外国でも問題は生じていないと指摘した。参政党は反対の姿勢が強く、最高でも4点で平均1.56点。通称使用で十分との意見が複数あった。