立民 幹事長に小川淳也氏 政調会長に重徳和彦氏【詳しく】(2024年9月24日『NHKニュース』)

立憲民主党の野田新代表は、新たな執行部人事で、幹事長に小川淳也氏、政務調査会長重徳和彦氏などを起用することを両院議員総会に提案し、承認されました。

記事後半では新執行部に選ばれた議員のプロフィールも紹介しています。

野田代表 新執行部を提案し承認される

立憲民主党は、23日の代表選挙で野田新代表が選出されたことを受けて、24日午後1時から国会内で両院議員総会を開きました。

この中で、野田氏は新たな執行部人事で
▽幹事長に小川淳也
政務調査会長重徳和彦
国会対策委員長笠浩史氏を起用するとともに
大串博志 選挙対策委員長を続投させることを提案し、承認されました。

また▽代表代行は大串氏が兼務するとともに
長妻昭氏を新たに起用し
辻元清美氏が続投することになりました。

さらに、代表選挙の決選投票で野田氏と争った枝野元代表は、党の最高顧問に就く方向で調整が行われています。

野田氏は、27日の自民党総裁選挙のあと、早期に衆議院が解散される可能性もあるとみて、小選挙区の候補者のさらなる擁立など、選挙準備を急ぐことにしています。

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野田代表ら幹部が各党あいさつ回り

立憲民主党の野田代表、小川幹事長、重徳政務調査会長、笠国会対策委員長は24日夕方、国会内にある日本維新の会共産党、国民民主党の控え室を訪れ、各党の幹部などにあいさつをして回りました。

このあと野田代表は記者団に対し「党役員の骨格人事は刷新感のある中堅を中心にお願いしようということで、このメンバーで構成した。きょうは各党へのあいさつ回りなので、あまり踏み込んだ話はないが、これからも誠意ある対話を続けていきたい」と述べました。

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《立民 新執行部 プロフィール》

◇幹事長:小川淳也(おがわ・じゅんや)氏 

幹事長に起用された、小川淳也氏は衆議院香川1区選出の当選6回で、53歳です。旧自治省、今の総務省を経て、2005年の衆議院選挙で初当選し、民主党政権では、総務政務官や党の政務調査副会長などを務めました。

2017年の衆議院選挙の際に、当時の民進党が分裂し、希望の党に参加しますが、その後、無所属で活動し、2020年に立憲民主党に加わりました。この年には自身の政治活動を追ったドキュメンタリー映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」が公開され、話題となりました。

3年前、2021年の衆議院選挙での党の敗北を受けて行われた、代表選挙に立候補し、泉前代表にやぶれましたが、政務調査会長に起用されました。その後は、党の税制調査会長などを務め、今回の代表選挙では、野田新代表を支援しました。

小川氏 “身に余る重責 党内と真摯に丁寧に向き合う”

幹事長に起用された、小川淳也氏は両院議員総会のあと、記者団に対し「非常に身に余る重責だ。みずからの役割をよく自覚し誠心誠意、全身全霊で取り組みたい。次の衆議院選挙に向けて、総理大臣を経験した野田代表の安定感や迫力を引き出したい。世代や感性の面で代表を補うことがあれば、私たちの務めを果たし、いいチームをつくりたい」と述べました。
また、ほかの野党との連携について「小選挙区で野党の候補者を1人に絞り込むことが望ましいことは間違いない。野党各党との信頼関係や将来に向けたさまざまな展望などを共有する環境をつくることに尽きる」と述べました。
一方、党内の一部から今回の人事に疑問の声が出ていることについて「どのような人事でも、賛同する声もあれば、懸念や反対の声が上がることも当然だ。最終的に自民党に代わる選択肢をつくる使命や責任は変わらない。党内の皆さんと真摯に丁寧に向き合っていきたい」と述べました。

政調会長重徳和彦(しげとく・かずひこ)氏 

政務調査会長に起用された、重徳和彦氏は、衆議院愛知12区選出の当選4回で、53歳。総務省の官僚出身で、2012年の衆議院選挙に日本維新の会から立候補して初当選しました。その後、民進党や無所属を経て、2020年に野田新代表とともに、立憲民主党に参加しました。

党内では、中堅・若手議員のグループ「直諫の会」(ちょっかん)を率いて、今回の代表選挙では、野田氏に立候補を要請するなど、全面的に支援しました。

政策立案能力に定評があり、今回の代表選挙で野田氏が訴えた、社会課題の解決に企業などの資金を活用する投資の促進などの政策は、重徳氏らのグループの提言がもとになりました。

重徳氏 “政権政党になれるという政策を”

政務調査会長に起用された、重徳和彦氏は、両院議員総会のあと記者団に対し「大変、身の引き締まる思いだ。今まで私自身が、中堅・若手議員の声が党に届かないと言ってきたが、もはや言い逃れのできない立場になり、いい執行部づくりの一翼を担いたい」と述べました。その上で、次の衆議院選挙の公約づくりについて「強いマニフェストをつくっていきたい。国民からの『信のない』自民党政治を打破するため、分厚い中間層の復活などを訴え、国民に政権政党になれる、というところを見せていく」と述べました。

国対委員長笠浩史(りゅう・ひろふみ)氏 

国会対策委員長に起用された、笠浩史氏は衆議院神奈川9区選出の当選7回で、59歳。民放の記者を経て、2003年の衆議院選挙で初当選し、民主党政権では文部科学副大臣などを務めました。

その後、当時の民進党希望の党、無所属を経て、3年前に立憲民主党に加わり、安住国会対策委員長のもとで、国会対策委員長代理を務めました。国会対策の経験が豊富で、今回の代表選挙では野田新代表の推薦人を務めました。

笠氏 “論戦してから解散を”

国会対策委員長に起用された笠浩史氏は両院議員総会のあと記者団に対し「緊張感をもって役職を果たしていきたい。10月1日に召集される国会は衆議院の解散含みになるが新しい内閣が何をやるのか、どういった方針で臨むのかについて国会の論戦を通じて明らかにしてから信を問うべきだ。代表質問に加えて予算委員会党首討論を求めていきたい」と述べました。
さらに「能登半島地震に加えて大雨で大変な被害が生じている。この対応は予備費ではなく、迅速に補正予算案を組んで国会で議論すべきで『やることはやってから解散しろ』ということで、厳しい対応をしていきたい」と述べました。

◇選対委員長:大串博志(おおぐし・ひろし)氏 

選挙対策委員長を続投する大串博志氏は衆議院佐賀2区選出の当選6回で、59歳。旧大蔵省、今の財務省の官僚を経て、2005年の衆議院選挙で初当選しました。

民主党政権では野田総理大臣のもとで総理大臣補佐官を務めました。その後、民進党や無所属などを経て2019年に立憲民主党に参加し、おととしから泉代表のもとで党の選挙対策委員長を務めています。

大串氏 “政権交代 実現できるよう頑張る”

代表代行を兼務して選挙対策委員長を続投することになった大串博志氏は両院議員総会のあと記者団に対し「野田代表から、党を総括しながら引き続き選挙も責任を持ってやってほしいと言われた。非常に重い役割で身の引き締まる思いだ」と述べました。
その上で次の衆議院選挙について「一番重要な課題は与党の議席過半数割れを起こすことだ。各党と対話する関係を作っていきたいと野田代表も繰り返し言っていたので、しっかり連携して力合わせをし『本気で政権を取りに行く』という代表のことばを実現できるように頑張りたい」と述べました。

リベラル系議員 党内最大グループ 疑問や不満の声相次ぐ

今回の代表選挙で枝野元代表を支援したリベラル系の議員でつくる党内最大のグループは24日午後の両院議員総会に先立ち、国会内で緊急の会合を開き、グループの顧問の枝野氏を含むおよそ20人が出席しました。

この中でグループの幹部が代表選挙の告示を前にグループを離脱し、野田新代表の陣営に加わった小川淳也氏が幹事長に起用されることなど、野田氏側から伝えられた人事案を説明しました。

これに対し、出席者からは「党内に有為な人材がたくさんいるのに、野田新代表は、主要な役職を自分の陣営から起用している」とか「応援しにくい内容の人事だ」など、疑問や不満の声が相次ぎました。一方で「党内融和を図るべきだ」という指摘も出ました。

グループの多くの議員は両院議員総会に出席しましたが、一部の議員は欠席したり、途中で退席したりしました。

《各党反応》

維新 馬場代表「党内まとめれば協力関係を加速」

 

日本維新の会の馬場代表は野田代表らとの会談のあと記者団に対し「民主党政権時代に閣僚として名を連ねていない人たちを登用して刷新感を出そうという思いがあるのではないか。野田代表がきちんと党内をまとめてくれれば協力関係も加速していく」と述べました。

一方、記者団から、次の衆議院選挙での候補者調整についてやりとりがあったのか質問されたのに対し「きょうは選挙の話は全くなかった」とした上で「私個人の考えでは選挙協力はやらないことになる」と述べました。

維新 遠藤国対委員長 “政治改革などで協力” 

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、記者団に対し「野田新代表とたびたび話はしているが、共通点が多く、一緒にやれることはある。国会の中の協力関係や信頼関係をより醸成していくことが大事で、それには政治改革がスタート地点になる」と述べました。

そして、来月1日に召集される臨時国会の冒頭に、政策活動費の廃止や、企業・団体献金を禁止などを盛り込んだ、政治改革の法案を野党各党で共同提出するため、立憲民主党などに働きかける考えを示しました。

また、野田新代表が意欲を示す、次の衆議院選挙に向けた野党間の連携について「状況に応じて判断していくべきだ。野党の議席を増やせば、与党が『ゆるゆる』にならず、国民の期待につながる。国民の期待値を上げることを全否定する必要はない」と述べました。

共産 田村委員長「最初から拒否は非常に遺憾」 

共産党の田村委員長は会談のあと記者団に対し「自民党政治と国会の中で対決していくことではお互いに頑張ろうという話になった。野党共闘について、どういう姿勢で臨むかが問われているので、誰がどの役職に就いたということで評価しているわけではない」と述べました。

その上で「代表選挙で『共産党と同じ政権を担うことはできない』という発言があったが、最初から拒否することは非常に遺憾だ。また日本維新の会は『自民党の補完勢力』なので市民と野党の共闘とは両立しえないと伝えた。話し合うことに門戸を閉ざしているわけではなく意見を率直に伝えた上での話し合いはありうるのではないか」と述べました。

国民 玉木代表「新体制の人事 よく見極め今後の対応」 

国民民主党の玉木代表は記者会見で「党のトップが誰になろうと何らかの連携をするには外交・安全保障、エネルギー政策、憲法など基本政策の一致が必要だ。エネルギー政策について野田氏は代表選挙で現実的な発言をしていたが、党の綱領には『原発ゼロ』と書いてあるので現実路線に変わるのかどうかはまだよく分からない」と述べました。

その上で「新体制の人事もこれから決まるので、よく見極めたうえで今後の対応も決めていきたい」と述べました。