栃木県の宇都宮市と隣の芳賀町を結ぶLRT(次世代型路面電車)が、去年8月26日に開業してから1年がたち利用者は累計500万人に達しました。
沿線では開発が進む一方で、将来に向けて課題を指摘する声も。
さらなる発展のためには...
(宇都宮放送局記者 宝満智之)
日常の交通手段として定着
利用者
「LRTはいつも行きも帰りも満員で、生活になじんできていると感じています」
「LRTはいつも行きも帰りも満員で、生活になじんできていると感じています」
利用者は増え続けるも...
開業から1年がたち、利用者は増え続ける一方で、将来的な課題も見えてきました。
休日に利用している約1万人のうち、半数近くの行き先が、沿線にある大型のショッピングモールに集中していたことがわかったのです。
宇都宮市と運行会社は、長期にわたって安定した需要を見込むためには、一部の施設だけに頼るのではなく、多様な目的地を生み出していくことが欠かせないと考えています。
宇都宮市と運行会社は、長期にわたって安定した需要を見込むためには、一部の施設だけに頼るのではなく、多様な目的地を生み出していくことが欠かせないと考えています。
そこで市は、「平石」停留場の前に、スケートボードや3人制バスケットボールなどを楽しめる総合公園の整備を計画しました。
2026年3月の開園を目指していますが、行政の取り組みには限界もあると感じています。
2026年3月の開園を目指していますが、行政の取り組みには限界もあると感じています。
“成功例は富山市にあり”
観光客
「古い町並みが残っていて、とてもすてきです。LRTに乗って気軽に来ることができ、駐車場の心配もしないですみます」
「古い町並みが残っていて、とてもすてきです。LRTに乗って気軽に来ることができ、駐車場の心配もしないですみます」
地域住民の取り組みは宇都宮市でも
鎌倉時代に造られたとされる「飛山城(とびやまじょう)」の跡は、当時の堀の形がそのまま残され、歴史ファンから高い評価を受けています。
ただ交通アクセスが悪く、これまでは「知る人ぞ知るスポット」にとどまっていました。
ただ交通アクセスが悪く、これまでは「知る人ぞ知るスポット」にとどまっていました。
近くをLRTが走ることになった今、直井さんはこの城跡を、観光やまちづくりに生かせないかと考えました。
清原地区観光地域づくり特別委員会 直井修一さん
「国の史跡の飛山城を生かして、LRTの利用者が訪れるような場所にしていきたい。ここは景色がいいので、まずは峠の茶屋のようなカフェを作れたらいい」
「国の史跡の飛山城を生かして、LRTの利用者が訪れるような場所にしていきたい。ここは景色がいいので、まずは峠の茶屋のようなカフェを作れたらいい」
企業にも支援を求めて
直井さんはさらに、沿線に立ち並ぶ工業団地を訪れて、企業にも支援を求めました。
さまざまな工場を見て回る見学ツアーを企画できれば、LRTを活用した「ファクトリーツーリズム」を創造できるかもしれないと考えたのです。
さまざまな工場を見て回る見学ツアーを企画できれば、LRTを活用した「ファクトリーツーリズム」を創造できるかもしれないと考えたのです。
直井修一さん
「観光客が、工場を見学できるように検討してもらえたらありがたいです」
「観光客が、工場を見学できるように検討してもらえたらありがたいです」
工場の担当者
「地域のイベントに来たついでに工業団地を回ってもらうとか、いろんな構想が生まれてきますね」
「地域のイベントに来たついでに工業団地を回ってもらうとか、いろんな構想が生まれてきますね」
直井さんは、今後もこうした取り組みを続けていくことで、いずれは大勢の人がLRTに乗って訪れる活気あふれた街にしていきたいと期待を膨らませています。
直井修一さん
「この地域には、見えない魅力がまだいっぱいあります。それらをどのように見せるようにしていくのか、時間はかかると思いますが、LRTが通った契機を逃さないようにしていきたいと思っています」
「この地域には、見えない魅力がまだいっぱいあります。それらをどのように見せるようにしていくのか、時間はかかると思いますが、LRTが通った契機を逃さないようにしていきたいと思っています」