甲子園へ強行軍の応援団に「2024年問題」、バス代高騰で「赤字になっても生徒に応援の機会を」(2024年8月21日『読売新聞』)

直行できず乗り継ぎ必要にも
 高校野球夏の甲子園で、アルプス席の応援団が「2024年問題」に直面している。バス運転手の休憩のために乗り換えが生じたり、移動費がかさんだり。学校関係者は「安全のためにはやむを得ない」と理解を示しながらも、費用捻出に苦慮している。(小松夕夏、津田啓生、次井航介)
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アルプススタンドから声援を送る関東一の応援団。今夏はバスの乗り換えなどがあり、費用がかさんだという(21日、甲子園球場で)=次井航介撮影
 4月からバスなどの運転手の時間外労働に対する規制が強化され、ドライバーの休息期間を延ばすなどの対応が必要となった。
 21日に初の決勝進出を決めた関東一(東東京)の応援団は、3回戦まで0泊3日の強行軍で東京~甲子園を往復した。準々決勝以降は京都市などに宿泊、23日の決勝戦まで滞在する。準々決勝から応援する2年の大槻玲陽さん(17)は「僕たちの声が選手の後押しになればうれしい」と話した。
 16日の明徳義塾(高知)との3回戦は、約700人がバスで駆けつけた。前日午後8時過ぎにバス18台で東京を出発、翌日午前5時頃に京都市周辺で別会社のバス18台に乗り換えて甲子園へ。試合を終え、バスを乗り継いで東京に着いたのは17日午前6時頃だった。
 今年3月の選抜出場時は、バスは甲子園に直行した。応援団の旅程を組む三原直也教頭は「旅行会社から、2024年問題で乗り換えが必要になったと言われた」と変更の経緯を説明する。1台2人体制の運転手36人は京都市周辺にとどまり、応援団が戻るまで休憩した。
 乗り換え用のバスを新たに手配した結果、東京~甲子園間の1台のグループあたりの費用は選抜時に比べ約20万円増え、1回につき約100万円になった。
 生徒の負担は3回戦までは1人あたり5000円だったが、宿泊代も必要となる準々決勝以降は3万円に増額。OBらからの寄付のほか、約500万円を目標にクラウドファンディングも実施しているが、決勝進出で滞在が延びても負担額は変えないため、学校の持ち出しは増えていく形だ。
 三原教頭は「甲子園は応援する側も勇気をもらう。赤字になっても、多くの生徒に応援の機会を与えたい」と話している。