電話番号案内の…(2024年8月4日『毎日新聞』-「余録」)

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NTT発足にあたり、「NTT104番」を掲げ午前0時からの民営化にそなえる番号案内=東京・大手町の東京電話番号案内局で1985年3月31日午後10時15分
 
 電話番号案内の「104番」は1953年に登場した。市外局番案内と一本化されるなど現在の方式になったのは89年で、90年に有料となった。有料化当日、反対する利用者の声などを小紙は詳しく報じている。オペレーターを通じての番号紹介は生活に身近なサービスだった
▲その104番と、店舗や企業などの番号を掲載した電話帳「タウンページ」の発行が、2026年3月末で終了する。NTT東西両社が発表した。すでに個人の番号などの電話帳「ハローページ」は発行を終えている。番号案内、電話帳ともに開始は明治期の1890年にさかのぼるため、130年超の歴史を持つサービスが幕を閉じる
▲NTT側が理由に挙げるのが、固定電話に代わる携帯電話やスマートフォンの普及や、ネットでの番号検索に伴う役割の低下だ
▲104番の場合、直近の年間利用件数は約1600万件と、ピーク時の約12億8000万件に比べ激減した
▲やはり長年親しまれた「177番」の天気予報もNTT両社は来年春に終了する。急ピッチのサービス見直しだが、障害者向けの無料の番号案内や「点字電話帳」の発行は継続する方針という。社会福祉に関する業務はしっかり維持してもらいたい
▲黒電話の脇に電話帳が置かれた昭和の風景が消えて久しい。お年寄りを狙った詐欺や迷惑電話が多くかかってくることから、固定電話のイメージもずいぶん変わってしまった。「電話と社会」の移り変わりを象徴する、104番と電話帳の退場である。
 
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