バイデン氏「冷静になるべきだ」 トランプ氏銃撃受け国民向け演説(2024年7月15日『毎日新聞』)

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ホワイトハウスの大統領執務室から国民向けに演説するバイデン大統領=2024年7月14日、ロイター
 バイデン米大統領は14日夜(日本時間15日午前)、前日13日に起きたトランプ前大統領の銃撃事件を受け、ホワイトハウスの大統領執務室から米国民向けに演説した。政治的な対立が過熱化していると指摘し、「そろそろ冷静になるべき時だ。我々は皆そうする責任がある」と語りかけた。
 「オーバルオフィス」と呼ばれる執務室からの演説は、戦争や重大な事件、主要政策の説明など限られた機会に行われ、重要な意味を持つ。今回は約5分間の演説だった。前大統領であり、大統領候補でもあるトランプ氏への銃撃という衝撃的な事件で国内が騒然となっているため、沈静化を図る狙いがある。
 バイデン氏は「米国にこのような暴力が許される場所は絶対にない。暴力が常態化することは許されない」と強調。大統領選が近づくにつれて政治的な情熱は強くなるものだと指摘しつつ、「どんなに強い信念を持っていても、決して暴力に走ってはならない」と呼びかけた。
 銃撃については「米国では、意見の違いを(選挙の)投票箱で解決する。銃弾ではない」と非難。捜査状況について説明を受けたとしたが、容疑者の動機やどのような意見を持っていたのかなどについてもまだ分からないと話した。【ワシントン西田進一郎】

トランプ氏狙撃は単独犯 FBI表明 特定の思想を持つかは未確認(2024年7月15日『毎日新聞』)
 
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トランプ前米大統領への銃撃事件現場へつながる道路付近に立つ警察官=米東部ペンシルベニア州で2024年7月14日、AP
 米東部ペンシルベニア州で13日にトランプ前大統領が銃撃された事件で、連邦捜査局(FBI)は14日、犯行は同州在住のトーマス・クルックス容疑者(20)による単独犯だったとの見方を示した。米メディアが報じた。
 クルックス容疑者は事件直後に大統領警護隊(シークレットサービス)に射殺されており、FBIは携帯電話の通信記録を解析するなどして、動機や事件の背景を調べる。
 クルックス容疑者は13日夕、トランプ氏の選挙集会の会場近くにある建物の屋上に上り、トランプ氏を狙撃した疑いが持たれている。FBIによると、現時点では、クルックス容疑者に特定のイデオロギーがあったとは確認できておらず、精神的な疾患に関する証拠も見つかっていない。容疑者の家族は捜査に協力的だという。
 事件ではトランプ氏が耳を負傷したほか、聴衆1人が死亡、2人が重傷を負った。【ワシントン大久保渉】

トランプ氏を撃った20歳白人、高校時に全米数学・科学賞を受賞した優等生だった(2024年7月15日『中央日報日本語版』)
 
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2022年のベセルパーク高校卒業式典の録画動画の中のトーマス・マシュー・クルックス容疑者(20)。[写真 X]
米国のトランプ前大統領を暗殺しようとした20代容疑者に対する情報が続々と公開されている。
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トランプ氏を暗殺しようとした男性の最後の姿
 
連邦捜査局FBI)は容疑者をペンシルベニア州ベセルパーク出身のトーマス・マシュー・クルックス(20)と13日(現地時間)、発表した。
約1400人が通うベセルパーク高校を2022年に卒業した容疑者は全米数学・科学の奨学金を受賞するほど優秀な学業成績を収めた優等生だったことが確認された。ペンシルベニア州南西部地域メディア「TribLIVE」(旧Tribune-Review)の2022年6月22日付の記事によると、容疑者は同年の全米数学・科学イニシアチブスター賞を受賞し、賞金500ドル(約8万円)を受け取っていた。
Xなど各種ソーシャルメディアにはベセルパーク高校の卒業式の録画動画も投稿された。ほっそりとした体格にメガネをかけて黒のアカデミックガウンを羽織って式に登場したクルックス容疑者は、自分の名前が呼ばれると拍手を受けて壇上にのぼり、学校関係者と記念写真を撮るかのようにしばらく笑顔でポーズを取った後、卒業証書を受け取っている。
ニューヨーク・ポストは同級生の言葉を引用し、容疑者は学生時代に特別おかしくは見えなかったが、ほとんど一人で過ごしていて、共和党員と認識されるイメージだったと伝えた。また、友人はいたものの、それほど多くはなかっただろうとし、高校の卒業アルバムに写真がないのはコロナ禍以降、学校に来なかったためだとも伝えた。
あわせて容疑者が共和党員として登録されているとCNNなど外信が報じた。容疑者が連邦選挙管理委員会の記録上、バイデン大統領が就任した2021年1月20日に共和党ではない民主党所属団体「progressive political action committee(進歩的政治行動委員会)」に15ドルを寄付したという報道も登場した。ペンシルベニア州が公開した裁判所記録上、犯罪の前科はなかったという。
クルックス容疑者は銃撃後、現場で大統領警護隊(シークレットサービス)所属の狙撃手によって射殺された。銃撃当時、彼は遊説場から130ヤード(約119メートル)離れた製造工場の屋根に身を潜めて二度銃撃を加えたことが分かった。
犯行動機についてはまだ確認されていない。米国司法当局はトランプに対する暗殺未遂として調査に着手した。その後、議会次元の真相究明も行われる見通しだ。