直前にトランプ前大統領が銃撃されるという事態を受けて街中が厳戒態勢になっていて、会場周辺にはフェンスが張り巡らされているほか、いくつもの道路が封鎖されています。
現地時間の14日夜、暗殺未遂事件の発生からわずか24時間ほどというタイミングで、トランプ氏は事前の予定通り、ウィスコンシン州に入り、空港に到着した際には右手を突き上げてみせました。
これに先立ち、トランプ氏は「銃撃犯に予定を変更させるのは許されないと判断した」とSNS上で表明し、銃撃事件に屈しない力強さをアピールしています。
共和党の中には「反トランプ」の声があり、大統領選に向けて一枚岩になれるかが焦点になっていましたが、暗殺未遂事件を受けて、トランプ氏のもとで結束しようという機運が一気に高まっていて、党大会はトランプ氏の求心力を一段と高める機会になりそうです。
アメリカ バイデン大統領
「アメリカでは意見の違いを銃弾ではなく、投票箱で解決するのだ」
13日、米東部ペンシルベニア州バトラーで、流血し、大統領警護隊(シークレットサービス)に囲まれるトランプ前大統領(AFP時事)
【ワシントン時事】米東部ペンシルベニア州で起きたトランプ前大統領の暗殺未遂事件を受け、銃撃を阻止できなかった大統領警護隊(シークレットサービス)への批判が強まっている。
米議会は警備体制に不備があったとして、警護隊のチートル長官らを追及する構え。バイデン大統領は14日、警備の在り方を再検討すると表明した。
選挙集会では金属探知機による保安検査が行われていた。しかし、殺害されたトーマス・クルックス容疑者は会場の外で、トランプ氏が演説していた場所から120~150メートル程度離れた建物の屋上からライフルで狙撃した。
容疑者はなぜそれほど接近でき、警護隊はなぜ狙撃可能な場所を警戒しなかったのか。議会や専門家の間では「警護隊の失敗だ」として、責任者の辞任を求める声も上がっている。
ジョンソン下院議長(共和党)は「議会は完全な調査を行い、警備のどこに不備があったかを明らかにする」と述べた。コマー下院監視・説明責任委員長(同党)も「米国民は答えを求めている」として、22日の公聴会でチートル氏を証人喚問すると明らかにした。警護隊の元隊員もロイター通信に「あってはならないことだった。集中的な見直しが行われるだろう」と指摘した。
警護隊は1865年、財務省の一部門として発足。1901年のマッキンリー大統領(当時)暗殺の後、大統領の警備を常時担う組織となった。
トランプ氏暗殺未遂事件 クルックス容疑者 隙を突いて発砲か 高校同級生「彼はいじめられていて…」(2024年7月15日『TBS NEWS 』)
事件発生から丸1日以上が経過した今も、選挙集会が行われていた現場には立ち入ることができない状況が続いています。集会に参加していた人がJNNの取材に対し、当時の様子を語ってくれました。
選挙集会に参加していた人
「シークレットサービスが突然フェンスを乗り越えて、建物に駆け上がるのが見えたんだ。悪夢だよ。まるで映画の中にいるようだった」
現場で射殺されたトーマス・クルックス容疑者は、トランプ氏が演説をしていた場所からおよそ135メートル離れた建物の屋上にいたとみられていますが、AP通信によりますと、クルックス容疑者は駆け付けた警察官にライフルを向け、警察官がはしごを降りた隙にトランプ氏に発砲したということです。
クルックス容疑者の人となりについても少しずつ明らかになってきました。
高校の同級生
「彼はいじめられていて、お昼休みも一人で座っていた。彼はたまに狩りの格好をしていて、服装のことでからかわれていた」
また、クルックス容疑者は事件現場から車で1時間ほどのところにある介護施設に勤務していて、食事の介助をしていたことが分かりました。
施設の責任者は「勤務態度に問題はなく、彼の関与を知って驚くと同時に、悲しい気持ちでいます」とのコメントを発表しました。
FBIは単独犯による犯行とみていますが、いまだ明らかになっていない動機の解明が急がれます。