不正輸出の疑いで逮捕され無実が明らかになる前にがんで亡くなった化学機械メーカーの元顧問の遺族が、拘置所で適切な検査や治療を受けられなかったとして、国に賠償を求めている裁判の2審が始まり、遺族は「勾留中の人に対する生命や人権の保護について改めて考え直してほしい」と訴えました。
横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の顧問だった相嶋静夫さんは、4年前、軍事転用が可能な機械を不正に輸出した疑いで、社長など2人とともに逮捕、起訴されました。
拘置所での勾留中に見つかったがんで亡くなり、その後、無実が明らかになりました。
遺族は、拘置所で適切な検査や治療を受けられなかったとして、国に賠償を求める訴えを起こしましたが、1審の東京地方裁判所が退けたため、控訴していました。
8日に東京高等裁判所で始まった2審で、原告の相嶋さんの長男は「一般的な水準の医療を受けることができなかった。無実の市民が逮捕、勾留された事実を直視し、勾留中の人に対する生命や人権の保護について改めて考え直してほしい」と訴えました。
一方、国は「拘置所の医師の治療や転院に関する調整、説明に不適切な点はなかった」などと主張しました。