拘置所で病死した大川原化工機・相嶋静夫さんの遺族が控訴 「一般の医療水準と比べ不適切な対応」(2024年4月4日『東京新聞』)

 
 外為法違反の罪に問われた社長らの起訴が取り消された「大川原化工機」の元顧問で、勾留中に判明したがんで死亡した相嶋静夫さん=当時(72)=の遺族が、拘置所の医療に不備があったとして国に損害賠償を求めた訴訟で、遺族側は4日、訴えを退けた一審判決を不服として控訴した。
2023年12月、相嶋さんの遺影を前に記者会見する長男(右)。左は大川原化工機の大川原正明社長

2023年12月、相嶋さんの遺影を前に記者会見する長男(右)。左は大川原化工機の大川原正明社長

 原告側の代理人弁護士は「一般の医療水準を基準にすれば、拘置所の医師の対応は適切ではなかった」としている。
 訴訟を巡っては原告側が、拘置所には早期に採血結果の精査や内視鏡検査をする義務があったのに怠り、死期を早めたと主張。東京地裁は3月21日の判決で「治療義務違反などは認められず、違法ではない」と請求を棄却していた。
 相嶋さんは2020年3月、生物兵器製造に転用可能な装置を中国に不正輸出したとして、警視庁公安部に社長ら2人とともに逮捕された。勾留中にがんが見つかり病院に入院し、21年2月に亡くなった。