多摩地域のPFAS汚染、小平市議会が請願書を採択 米軍基地の調査を市に求める 「調査は可能」と訴え(2024年6月29日『東京新聞』)

 
 東京・多摩地域の水道水源の地下水が発がん性の疑われる有機フッ素化合物(PFAS)で汚染されている問題で、小平市議会が28日、汚染源特定のために在日米軍基地や工場を調べるよう市に求める請願書などを採択した。
発がん性の疑いがある有機フッ素化合物(PFAS)を含む泡消火剤が漏出した米軍横田基地=東京都で

発がん性の疑いがある有機フッ素化合物(PFAS)を含む泡消火剤が漏出した米軍横田基地=東京都で

 請願書では「必要な場合は立ち入り調査をするように都内25市と連携して国や都に働きかけること」などと要求し、全会一致で採択した。
 請願理由として、沖縄県や神奈川県でPFAS漏出事故に対する米軍基地内への立ち入り調査が実現している例などに触れ「都や関係市の要請で(米軍横田基地の)調査は可能だ」と指摘。工場については「市内の事業所の(PFASの)保有状況や過去の漏出の調査が重要だ」と訴えた。
 国や都に対してPFAS血中濃度基準の設定や血液検査などを求める意見書も可決した。(松島京太)
 
有機フッ素化合物(PFAS)汚染から小平市民の健康を守るために、 早急な対策を求める意見書の提出について 
請願理由 
有機フッ素化合物(PFAS)は 1940 年代から、生活用品、工業製品、泡消火剤などとして、幅広く便利に利用されてきた合成化学物質で、1万もの種類があります。 
PFAS の有害性について、2000 年以降、甲状腺疾患、血中コレステロール値の上昇、肝疾患、腎臓がん、精巣がんなどの発がん性リスクや、胎児や子どもの発育不全との関連を全米アカデミーズが指摘しています。 
また、昨年 11月に世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関が、人に対しての発がん性評価の基準を4グループに分類し、そのうち、PFOAをグループ2Bの「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」からグループ1の「ヒトに対して発がん性がある」へ分類し、PFOS をグループ2Bの「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」に分類しました。 
PFAS の水汚染問題は、沖縄県、神奈川県、東京都多摩地域では、米軍基地からの漏出が原因とみられる河川や地下水などの汚染が顕在化し、大阪府など全国各地ではPFASを使用していた工場周辺の水汚染が問題になっています。 
小平市を含む多摩地域では、2022年から2023年にかけて、市民団体によって、住民の
PFASの血中検査が実施されました。791人分の検査結果報告では、PFASの血中濃度
2021年の環境省の全国調査と比べ2~3倍高いことがわかりました。検査に携わった原田浩二准教授(京都大学、環境衛生学)は浄水器を使用している人の血液ではPFAS濃度が低いことから、水道水からPFASを摂取した可能性があると指摘しています。現在PFAS濃度の高い水源井戸からの取水は停止されていますが、PFASは残留性が高く(半減期3~8年)、生物蓄積性、難分解性を持つことから、住民の健康への影響を危惧します。 
国及び東京都に対し、汚染実態調査の実施と住民の血中検査を中心とした健康調査を継続的に行うことを、私たちは求めます。  
以上の理由により、次の事項について請願いたします。 
請願事項 
次の事項について、国及び東京都へ意見書を提出してください。 
1 汚染が広がっていることが明らかな多摩地域の住民を対象に、血液検査を中心とした健康調査を、早急、かつ継続的に実施し、データを蓄積することで対策に活用すること。 
2 諸外国の最新の知見を参考に、PFASに関して健康が損なわれる血中濃度の基準値を
早急に決定し、血中濃度の低減のための対策についての情報収集、広報に努めること。 
 
 紹介議員   
   鈴木だいち 水口かずえ 柴尾ひろみ 中倉茂和 中江美和  
                   
                                    令和6年2月13日 
                               請願者 針谷幸子 
   団体名 PFAS汚染問題を考える会 
   連絡先 小平市上水本町3-17-3-6 
   電 話 090-7844-7696