提出したばかりの教育長人事案、武蔵野市が取り下げ…教科書著者で「公平性に疑念」指摘受け(2024年6月24日『読売新聞』)

 東京都武蔵野市は18日、空席となっている教育長に市教育委員会教育アドバイザーの宮崎倉太郎氏(61)を任命する人事案を市議会に提出していたが、17日付で取り下げたと発表した。市は13日に人事案を提出したばかりだった。
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宮崎倉太郎氏
 前教育長は今年4月に就任したが、以前の所属先の大学でハラスメント行為をしたとして懲戒処分を受けたことが発覚し、5月に辞職。市は今月6日に宮崎氏を教育長に任命する人事案を発表し、13日に市議会へ提出していた。
 市秘書広報課によると、宮崎氏は都内の出版会社が発刊する今年度用の小学校の教科書の著者を務めていた。人事案の提出後、議会で市議から「教科書採択の公平性に疑念を持たれる可能性がある」と指摘を受けたという。
 文部科学省の通知では、教科書の編集に関わった人は、教科書の採択に関与しないよう求めている。市は宮崎氏が教科書の著者を務めていたことを把握しており、教科書採択には関与させないとしていたが、「疑念を生じさせることのないよう万全を期す」として、人事案の取り下げを決めた。
 同課によると、教育長人事は未定で、不在の間は引き続き、教育委員の清水健一氏が職務代理者を務めるという。小美濃安弘市長は「児童、生徒の健やかな成長を最優先に、教育長不在期間をできるだけ短くするよう努める」とのコメントを出した。