災害を生き延びながら、避難生活中に亡くなる人が後を絶たない。事態を重く受け止め、対策を講じなければならない。
年代が公表された22人は、すべて60代以上だ。脳梗塞(こうそく)や心臓病の発症、持病の悪化などで亡くなった。1人当たりのスペースが狭く、衛生状態が悪い避難所で過ごすなど、生活環境の悪化が心身に大きな負担を与えたとみられる。
特に、高齢者はリスクが高い。奥能登は高齢化が進んでおり、関連死を防ぐ対策に力点が置かれた。
まず、ライフラインが途絶え、寒さが厳しい被災地から県内外への広域避難が進められた。生活環境の改善を目指したものだ。
被災地に残った高齢者をケアするために、全国から福祉の専門家チームが派遣された。認知症だったり体力が低下していたりする避難者らの支援に取り組んだ。
こうした取り組みも、ライフラインの復旧に伴い、縮小されつつある。一方、地域の避難所や広域避難先で過ごす人は、今も約3000人を数える。
熊本地震などでは、発災から半年以降も関連死が続いた。生活の質の向上を図るとともに、孤立やストレスを解消する息の長い支援が求められる。
医療機関や高齢者施設も大きな被害を受けた。人員も不足している。地域で必要な治療やケアを受けられるよう、態勢の立て直しが急務だ。
関連死は、見守りやケアによって「防ぎ得た死」だ。過去の災害や今回の教訓を踏まえ、命を守る有効な対策につなげていきたい。