女性は杉並区在住の芹沢悦子さん(56)。6月6日から連日1時間ほど立っているという。足を止めて見てくれたり、「投票に行きます!」と声をかけてくれたりする人もいて、手応えを感じているそうだ。
◆「誰でも・どこでも・いつでも」できる
こうした投票率アップを呼びかける運動は、「ひとり街宣」と呼ばれる。杉並区では2022年6月の区長選の際、芹沢さんらが地元の駅頭に立ち、候補者さながら訴える活動が注目された。23年4月の区議選でも同様の光景が見られ、22年に初当選した岸本聡子区長も、区議選で「ひとり街宣」をした1人だ。
呼びかけが功を奏したのかは分からないが、22年区長選の投票率は37.52%と前回選より5.5ポイント高く、23年区議選は43.66%で前回選より4ポイント上がった。
「誰でも、どこでも、いつでもできるのがひとり街宣のいいところ」と芹沢さん。ただ、立つ場所や、訴えていい事柄は地元の選挙に詳しい人などに相談している。今回の都知事選では、環境活動に携わっていることから、再開発や神宮外苑問題など都政の課題に関心を持ってほしいという。
区政トップの岸本区長も既に「ひとり街宣」を始めている。6月11日夕、ピンクのスーツ姿で京王井の頭線永福町駅前に立ち、体の前面と背面には「投票率UP 77%」の目標、「私たちが動く、政治が変わる」と書いた手作りのボード。「どんな東京にしたいか、みんなで考えていきましょう」と声を上げた。
駅前で都知事選への投票を呼びかける岸本聡子杉並区長
岸本区長は11日から都知事選の告示前日の19日まで、公務が終わった後に区内各駅で立つ予定だ。特定の立候補予定者への応援ではなく、あくまで投票率アップが目的。「民主主義を実現するためには、都民一人一人が自分ごととして考えて、選挙に足を運ぶことが重要」と力を込める。
交流サイト(SNS)では「#都知事選ひとり街宣」と添えて投稿する人も出てきた。七夕の投票日にかけて目標を77%とした岸本区長は期待する。「決して無理な数字じゃないと思う。少しでも投票に行く人が増えたら」(奥野斐)