かみ合わない府と現場・・・大阪府の万博子ども無料招待事業「優先」メールに『撤回』メールと“対応が後手後手”!?(2024年6月11日『MBSニュース』)

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交野市・山本景市長
開幕まで約10か月に迫った大阪・関西万博。大阪府が、府内の子どもたちを無料で招待する事業をめぐり、10日に大阪・交野市の山本景市長が会見を開き、府の対応を改めて批判しました。
 
子ども無料招待事業 全学校のうち7割参加・2割が「未定・検討中」 府教委が”意向確認”も・・・
大阪府は、府内の小・中・高校生などを校外学習や遠足で来年の万博に無料で招待する事業を行う予定です。府は、日時の希望やバスの割り当てなどの参考とするため、4月から5月にかけて、府内の対象校約1900校に対して、万博への来場を「希望する」か「未定・検討中」かを問うアンケートを行いました。
 3日、大阪府の吉村知事は、アンケートの結果、府内約1900校のうち7割以上の約1390校が来場を「希望する」と回答し、「未定・検討中」と回答したのは約350校(約2割)だと明らかにしました。府は現在、「未定・検討中」と回答した学校に対して、来場についての課題を含めて、意向を改めて聞き取る調査を行っています。
 今回新たな問題となったのは、その「再度行われた意向調査」に関してでした。
「希望する」回答の学校を「優先に割付」交野市長「アンケートの目的と異なる」
交野市の山本景市長は5月、市内の小中学校計13校が、全て「未定・検討中」と回答していると明らかにしています。当然、交野市内の各学校に、再度の意向調査が府側から来ることになります。
 山本市長は、市内のある学校に3日に届いたメールを記者団に示し、次のような内容が書かれていたと話しました。
(3日に市内の学校に招待事務局から届いたメール)
「5月31日(金)までに登録頂いた学校様を優先に割付いたしますので、 移動手段や入場日によってはご要望通りにお応えできない可能性がございますことご了承ください」
 山本市長はこの内容が、「アンケートの目的と異なるのではないか」と指摘しました。
(交野市・山本景市長 10日の会見)
「そもそも意向調査なので、申し込みじゃなくて、あくまでどれだけの人が利用するか見積もるために調査するということだったのに、いつのまにやら申し込みにすり替えられていた」
 これについて、大阪府の吉村知事は・・・
大阪府・吉村洋文知事 7日)
「5月31日で区切った学校を優先して、そのあと我々も参加希望だというふうに出したところを、いわゆる”劣後して”扱うというようなことは、僕は間違ってるんだろうと思います。ただ、ちょっとそういうふうに受け取られかねないメールだなというのは確かに思います」
吉村知事は、訂正の連絡をすることも含めて、教育庁に指示する方針を示しました。府教委によりますと、実際に府教委と招待事務局が会議を開き、意図と違うところが含まれていたとして、メールを送り直すことになったということです。原因について府教委の担当者は「3日のメールを送る前に、府教委が文面をチェックできなかった」としています。
7日の訂正メールも交野市長「何が誤っているのか分からない」
10日、交野市の山本市長は、記者団に対し、7日に学校に届いたとするメールも公開しました。それによると・・・
(7日に交野市内の学校に届いたとされるメール)
「6月3日付けでお送りした標記メールにつきまして、誤った表現がありましたこと、心よりお詫び申し上げます。大阪府教育庁と調整させていただきました結果、改めて、以下のとおり確認のお願いをさせていただきます。
 現在、5月31日(金)までに登録いただいた学校様の入力内容を確認しており、内容確認が終了次第(6月下旬目途)、来場日や移動手段の調整を開始していく予定でございます。調査期間中に『未定・検討中』を選択いただき、来場希望登録が未入力の学校様におかれましても、現時点で「学校単位での訪問を希望する」ご意向があります場合は、6月28日(金)までに事務局にお電話にてご連絡ください。なお、来場日等の調整開始後に参加希望いただいた場合も、可能な限りご希望にお答え出来るよう尽力して参りますので、引き続きのご検討をお願いします」
山本市長は、誤った表現がどこを指すのか不明確だと指摘しました。
(交野市・山本景市長)
「6月7日のメールに関しては、6月3日のメールのどこが間違っていたのか、誤っていたのかまでは一切書いていなかったので、私からすると、受け取った方からすると、先に送った「優先する」という通知に関しては事実で、訂正されていないと考えざるを得ないかなと思います」
府教委によりますと、意向調査の締め切り日と、優先順位をつけるとしたことが意図と異なっていた部分だとしたうえで、6月末までに希望日や交通手段などを回答すれば、5月末までに回答した分と同じ扱いとするということです。
”後手後手”に見える対応に、かみ合わない府と現場。万博の子ども無料招待事業はうまくいくのでしょうか。