「花とゆめ」名シーンの生原稿がずらり 「ガラスの仮面」「ぼく地球」「暁のヨナ」…創刊50周年記念展(2024年6月9日『東京新聞』)

 
 少女漫画の王道たる学園恋愛漫画だけでなく、SFやファンタジー、ギャグなど、多彩なジャンルの作品が楽しめる少女漫画雑誌『花とゆめ』が今年5月に創刊50周年を迎えた。東京都港区の東京シティビュー六本木ヒルズ森タワー52階)では、レジェンド作家から連載中の人気作家まで歴代74人、約200点の原画がそろう展覧会が開催中だ。少女漫画に新風を吹き込んだ歴史をたどることができる。(飯田樹与)
歴代作家74人の原画がずらりと並ぶ会場=東京都港区で

歴代作家74人の原画がずらりと並ぶ会場=東京都港区で

 『花とゆめ』は1974年5月、白泉社が月刊誌として創刊、翌年からは毎月5日と20日に刊行されるようになった。『マーガレット』や『少女コミック』など少女漫画誌がしのぎを削る中、後発だった『花とゆめ』では「パタリロ!」や「ぼくの地球を守って」「赤ちゃんと僕」など幅広いジャンルの作品を扱ってきた。

◆「巨大イラストケーキ」がお出迎え

 「創刊50周年記念 花とゆめ展」の会場入り口には、展覧会のキーワード「パーティー」にちなんでアニバーサリーケーキを模した巨大なオブジェが来場者をお出迎え。歴代の作品イラストが上段から掲載順に並んでおり、来場者自身の読書歴と照らし、懐かしみながら眺めるのが楽しい。
創刊50周年を祝う、ケーキを模したオブジェ=東京都港区で

創刊50周年を祝う、ケーキを模したオブジェ=東京都港区で

 原画展示は、ともに1976年1号から連載がスタートした「ガラスの仮面」と「スケバン刑事(デカ)」、創刊号(74年)を飾った「アラベスク(第2部)」から始まり、年代順に作家ごとに扉絵などのカラーイラストや、名シーンの生原稿がずらり。繊細な筆致から作家の息遣いを感じられて見入ってしまう。
 連載中の「暁のヨナ」をアナログで描く草凪(くさなぎ)みずほさんと、アニメ化された「覆面系ノイズ」をデジタルで手がけた福山リョウコさんの仕事机を再現したコーナーでは、創作スタイルの変化も感じられて興味深い。
 30日まで。会期中無休。